部下が優秀すぎてむかつく件について (ページ23)

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第二十二話ページ23

……遅い。
西園寺が一を置いて倉庫に向かってから1時間が経とうとしていた。
いくら倉庫が離れているとしても、衣装を取りに行くだけだ。こんなに遅くなるだろうか。

なんだか嫌な予感がする。

―――と、その時けたたましいサイレンの音が鳴り響いた。

『不審人物が侵入しました、ただいま捜索中ですので、皆さんは速やかに指示に従って避難してください。』

そのアナウンスと共に避難指示が出る。

……倉庫は？
そう言えば倉庫は校舎から離れているから放送の声が聞こえないんじゃなかったか。
一応、スピーカーは付いているがしばらく放置されていた場所だ。
スピーカーが壊れていても不思議では無いだろう。

どっと嫌な汗が吹き出して、思わず着替えるのも忘れたまま飛び出した。
途中、何人かの人にぶつかった気もするがそんなことに構ってられない。

それくらいに西園寺が心配だった。
もし、彼が不審者と出くわしていたら……。最悪のことを考えて、気分が悪くなる。
もうこれ以上大切な人を失うのはごめんだ。

倉庫に近づくと、中から声がする。
それは間違いなく西園寺のものであることが一には分かった。

錆びて立て付けの悪くなった扉を力任せに開ければ、そこにはキモオタを絵に描いたような男に組み敷かれ、魔法少女の衣装のスカートを履かされている最中の西園寺の姿だった。

思わず男を殴り飛ばして、潮に駆け寄る。
突然自分が来たことに驚いているのだろうか、放心気味でありがとう、助かったという彼に服を着るように促す。

顔を赤くして急いで着替えている西園寺を横目に、一は男の方へ歩み寄った。
男は脱兎のごとく逃げ出そうとするが、それを組み敷き、縄で手を縛る。
そのまま教員に知らせれば、彼は即お縄となり、非難のため中断していた創立祭も再開されたのだった。