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[130]悪戯っ子 ページ38

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▽ 主視点 ▽


「Aーーっ」

 とある日の昼休み。いちごミルクのパックを持って廊下を歩いていると、聞きなれた声が後ろから聞こえてきた。振り返ると、そこに居たのは僕の部活の先輩だった。


「孝支さん」
「おっと、……そっか、今2人きりか、確かに」
「まぁ、周りに生徒は居ますけど。バレー部の皆は居ませんし」


 それなら約束を破った事にはなりませんよね。そんな気持ちで彼を見つめると、彼は少し困ったように微笑んでいた。
 その後、はいっと紙を1枚手渡される。そこには、トスのサインが分かりやすくイラスト付きで記されていた。懐かしい。こんな感じのサインを、僕も中学の時作った記憶があったな、と思い出す。


「これ――」
「トスのサイン、覚えて欲しくて。ほら、俺影山みたいな正確なトスは出せないからさ」
「……ありがとうございます。1分で覚えます」
「いやいや、そこまで急かしてないよ」


 僕の言葉に彼はまたそうやって笑った。いや、でもホントに1分で覚えます。本気で。


「そう言えば、お昼食べた?」
「今から翔陽たちと食べるとこです。よかったら、孝支さんも一緒に食べますか?」

 そう問うと彼は一瞬んーと考えて、数秒後「いや、大丈夫」と応えた。そっか、菅原さんも一緒だったら楽しかったんだけどな、なんて思っていると彼はニコッとまるで小悪魔のように笑った。


「俺はまた今度、Aと二人きりで食べることにしようかな」
「へっ」
「んじゃ、また部活で」


 彼はそう言って、直ぐに僕の目の前から姿を消してしまった。相変わらず、彼は僕のことをおちょくるのが好きらしい。……いや、菅原さんだけじゃないな、こんな発言をするのは。だとすると、僕の周りの人達はみんな、人にこうやってイタズラするのが好きな人間ばかりなのかも知れない。
 そんなことを考えながら僕は、翔陽と飛雄が待つ中庭へと足を向けたのだった。



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ゆん(プロフ) - おもしろくてすぐに読み終わりました(о´∀`о)続きが気になります😃更新頑張って下さい(*´∇`*) (2022年7月6日 12時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - 更新待ってます!!! (2021年10月29日 14時) (レス) @page37 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
MiSo(プロフ) - 続き楽しみにしています!!更新停止中ですが、再開したら無理せずに頑張ってください!応援しています! (2020年7月12日 0時) (レス) id: 78c105b37d (このIDを非表示/違反報告)
ミューナ(プロフ) - お気に入り登録が819になってる…! (2020年5月4日 8時) (レス) id: d5974347c1 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(*^^*)合宿の話とかすっごい気になります!更新頑張ってください、("⌒∇⌒") (2020年4月28日 15時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒマリ | 作成日時:2020年4月27日 23時

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