［106］転ばぬ先の安全線 __ 月島side ページ14
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▽ 月島side ▽
左耳にAから渡されたイヤホンをはめて、スマホの画面を見せてもらう。
稲荷崎ってめちゃくちゃ強豪じゃん。去年のインハイ、春高両方とも3位…とかじゃ無かったっけ？
｢え、てかコレ、練習試合じゃない？｣
どうやってこんな動画仕入れたの、と彼の顔を見ると。優しく、ふわりと微笑まれた。
｢親の友達が、兵庫に住んでるらしくてさ。
よく送って貰ってんだよね｣
｢…そうなんだ｣
まあ、Aの仕草を見ても嘘をついてそうには見えなかったし。本当なんだろう。
…めちゃくちゃ嘘をつくのが上手とか、そういう事で無ければ。
納得して、また画面に目を戻すと稲荷崎のキャプテンが交代でコートに出て来ている場面だった。
｢…キャプテン、レギュラーじゃないんだ｣
｢稲荷崎は層が厚い上に、レギュラー1人1人の才能が飛び抜けてるから中々ね〜｣
そんな彼の言葉に、まあそうだろうな。と、これまた納得する。
そりゃあ全国に行って、その上結果も残してるチームとなれば簡単にレギュラーに入れる訳ないだろう。
｢でもね、北さんは凄いよ｣
そう言うAは、自慢げに微笑んでいて。何故か少し、胸が傷んだ気がした。
…最近よく、僕は彼の一挙一動に惑わされてる気がする。
｢北さんってのは、このキャプテン？｣
｢うん｣
その言葉の意味を理解する為に、画面に映し出される試合に集中する。
…確かに、ミスは全くといっていいほどしていない。それに、なんか周りの人達が彼の存在に怯えているようにも見えた。
…キャプテンってのは、何処もこんな感じなのだろうか。と思って、ウチのキャプテンに ふ、と目を向ける。
あ、目合った。
｢？ どした、月島？｣
｢…いえ｣
いや、ウチのキャプテンはまだ結構優しい方だ。
多分稲荷崎の所のキャプテンは、相当怖いんだろう。
｢…Aはいっつも、こーゆーの見てるの？｣
｢うん、毎日見てるよ。
稲荷崎に関しては、多分細かく説明出来るレベル｣
｢…ふぅん｣
そう返して、今度は隣に座る彼に目をやる。
真っ直ぐな目で、まるでどこかの誰かさんのように目を輝かせて。画面を見つめている。
…理解したいけど、理解したく無い。
その、真っ直ぐな感じ。
胸がギリギリと痛んで、今度は耳までその音が聞こえた。
もうそれからはとにかく、何も考えたくなくて。
無駄に甘くていい匂いがするAの肩に頭を乗せて、目を閉じた。
｢蛍？｣
｢…眠い｣
｢ふふっ、そっか｣
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ゆん(プロフ) - おもしろくてすぐに読み終わりました(о´∀`о)続きが気になります😃更新頑張って下さい(*´∇｀*) (2022年7月6日 12時) (
レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - 更新待ってます！！！ (2021年10月29日 14時) (レス) @page37 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
MiSo(プロフ) - 続き楽しみにしています！！更新停止中ですが、再開したら無理せずに頑張ってください！応援しています！ (2020年7月12日 0時) (レス) id: 78c105b37d (このIDを非表示/違反報告)
ミューナ(プロフ) - お気に入り登録が819になってる…！ (2020年5月4日 8時) (レス) id: d5974347c1 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(*^^*)合宿の話とかすっごい気になります！更新頑張ってください、("⌒∇⌒") (2020年4月28日 15時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒマリ | 作成日時：2020年4月27日 23時
