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[103]色に出でにけり わが恋は ページ11

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▽ 主side ▽


「あっ、忠」

烏養コーチと暫く自販機前で時間を潰して、1人で浴場に来れば。暖簾の前にある横長の椅子に、忠が座っていた。

「A。お疲れ」

「ありがとっ。忠はどうしたの?」

と聞けば、彼はにこりと微笑んで。

「Aを待ってた」

と応える。
はて?僕はお風呂で待ってて、とか伝えたっけ?

そう思って首を傾げると、忠がふふっ、とまた笑う。
今日はいつも以上に忠がご機嫌に見える。


「ここで俺が見張ってないと、お風呂入ってる時誰か来たら大変でしょ?」


…そう言えば、中学の時も岩泉さんがこうやってお風呂前で待っててくれたっけ。
僕は、良い人に恵まれ続けているんだな。


「ありがとう、忠」

「うんっ」

「じゃあ、早めに上がるから。待っててね」


ニッコリと微笑む忠に、手を振って。
僕は男湯の暖簾をくぐった。





寝部屋に忠と戻れば、まだまだ元気が有り余っているバレー部員たちが騒ぎまくっていた。
で、そんな彼らにそろそろ落ち着け、と怒っているのがキャプテン。

ほんと、もう12時近いんだから落ち着いてくださいよ。と思いつつ、布団の上にあぐらをかいている翔陽の隣に腰掛ける。
どうやら先輩達とトランプをしているらしい。

「? どーした、A?」

そう翔陽が聞いてきたので、僕は口を開く。


「翔陽の隣で寝ようかなーと思って」

そう言えば、何故か翔陽は顔を真っ赤にしてボフッと爆発させた。
よく分かんないし、取り敢えず僕は寝る準備をしようとスマホとバレーノートを布団まで持ってくる。


「あ、因みに左隣は忠が良いんだけどいいかな?」

「うんっ、いいよ〜」

忠はまたさっきのニコニコの笑顔で、僕の言葉にそう返した。やっぱり、このメンバーで落ち着く人達って言ったらこの二人でしょう。
忠は僕の秘密を知っているし、翔陽はなんか本能的に安全そう。


「え〜、俺もAの隣が良かった〜」

「スガ、我儘言わない」

「むぅ。大地の意地悪」

「俺のせいじゃないだろ!?」


はてさて、よく分からないことを言っている先輩達は放っておくとしよう。布団をバタバタしているスガさんは可愛いけどね。


「よーし!次は、王様ゲームしようぜ!」

トランプを終えた田中さんは、いつの間にか手に割り箸を持ってそう言っている。


「もう寝ろ、田中」

然し、そんな田中さんの提案は、キャプテンの厳しい一言で叩き落とされたのだった。

さて、僕もノートを書いてさっさと寝よう。

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ゆん(プロフ) - おもしろくてすぐに読み終わりました(о´∀`о)続きが気になります😃更新頑張って下さい(*´∇`*) (2022年7月6日 12時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - 更新待ってます!!! (2021年10月29日 14時) (レス) @page37 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
MiSo(プロフ) - 続き楽しみにしています!!更新停止中ですが、再開したら無理せずに頑張ってください!応援しています! (2020年7月12日 0時) (レス) id: 78c105b37d (このIDを非表示/違反報告)
ミューナ(プロフ) - お気に入り登録が819になってる…! (2020年5月4日 8時) (レス) id: d5974347c1 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(*^^*)合宿の話とかすっごい気になります!更新頑張ってください、("⌒∇⌒") (2020年4月28日 15時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒマリ | 作成日時:2020年4月27日 23時

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