27 お易い御用、爽やかな笑顔 ページ27
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高校入学から幾分か経ち、暮春の空が伺える頃。なんて、清々しい空とは反して私の心はちょっとだけ荒れていた。
今からの授業は体育なのだが生憎、ジャージの上を忘れてしまった。運動神経が悪い私からしたら、サボれるじゃんラッキー!って感じになるはずだが、体育を見学した暁には放課後の体育館掃除をしなければならない。
それだけはどうしても阻止したいので、他クラスの友達に借りよう!なんて友達のいない私には無可能なことなのだった。
「理恵、まじでどうしよう!」
「私は掃除手伝えないよ、お母さんにおつかい頼まれてるし。」
「えぇ、絶対したくないのに....!」
頭を抱えながら、更衣室までの道のりを歩く。どこかから、ジャージを貸してくれる優しい方は出てこないだろうか、空からジャージが降ってこないだろうか。
なんて馬鹿なことを考えていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「お、佑月ちゃんに理恵ちゃんやん!」
「こんにちは!」
「志麻先輩、お久しぶりです。」
「確かに、佑月ちゃんとは全然会ってなかったね〜」
ご無沙汰な志麻先輩。少し制服を着崩す彼は相変わらずイケメンだ。
「どうしたん?困ってるようやったけど」
「あー、佑月が今から体育だってのにジャージの上わすれたんですよ。掃除やだーって」
「そうなん?俺でよければジャージ貸そっか?」
「!」
「良かったじゃん!貸してもらいなよ佑月!」
「えぇ、私なんかにいいんですか...?」
「佑月ちゃんになら大歓迎やで〜!」
「_______じゃあお言葉に甘えて...」
「じゃあ、教室すぐそこだから取ってくるわ〜」
そんなこんなで志麻先輩にジャージを借りることになった。もの凄く有難いけどもの凄く恐れ多い。だって、学校1.2を争うイケメンだよ!なんでも私なんかに!
「はい!洗濯してから使ってないけど、俺の匂いついとったらごめんな!」
「全然です!ありがとうございます、助かります!」
爽やかな笑顔で快く貸してくれた志麻先輩にお礼を言って、更衣室へ急ぐ。見るからにいつも私が着ているものより大きいけれど、大丈夫なのだろうか。いや、ないより凄く有難い。
待ってよ、なんか着るの緊張する.......
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あるじゃん(プロフ) - あいさん» あいさんご無沙汰いたしております。暖かいコメントありがとうございます、嬉しい限りです泣 長らくお待たせいたしましたが、今後ともよろしくお願いいたします!更新頑張ります。 (2021年4月11日 13時) (レス) id: 2f7ed6fc05 (このIDを非表示/違反報告)
あい - おかえりなさい!!これからも更新頑張ってください! (2021年4月10日 18時) (レス) id: dad9695123 (このIDを非表示/違反報告)
みね - 更新、頑張って下さい!めっちゃ楽しみです!!! (2020年7月30日 23時) (レス) id: 2329b8e021 (このIDを非表示/違反報告)
白瀬(プロフ) - コメント失礼します…!!私が昔から読んでいた少女漫画と内容がそっくりで、めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年6月29日 7時) (レス) id: 29052aa6a9 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 本当ですか…?良かったです…文才足りんと悩んでいたので… (2020年5月13日 21時) (レス) id: b5c026bc9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるじゃん | 作成日時:2019年11月25日 0時