17 いつも背中を押してくれた人 ページ17
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球技大会の練習中。最初は、バスケに出る皆でどれぐらいできるか見ていたのだが、私のあまりの出来なさに理恵に個人レッスンをして貰っている。
私を見たチームの子は、みーんな苦笑い。理恵にも「佑月って運動の中で球技、更に苦手...?」と、言われてしまう有様。
それもその筈で、壊滅的すぎて手の施しようがないほどに、私は球技ができない。まず、何も使わない運動すらできないのに、球を追加した運動なんて笑えたもんじゃない。
「だから言ったじゃん、こんなん足引っ張るだけだよ〜...」
「まぁ、佑月出来なくても楽しめればいいし、そんなに深く考えないで、」
「理恵とできるのは嬉しいけど、私のあまりの出来なさに腹たってきた。」
半泣き状態で嘆く。幾ら練習しても上達しない。段々嫌気が差してきて、理恵には他の子と練習しててもらい、私は壁際で休んで見守ることにした。
体育館の壁にもたれて、ずりずりと腰を下ろす。いいなぁ、理恵楽しそう。
「どうしたんです、佑月さん?」
「あ、センラ、」
誰か来たな、と思ったら、声が上から降ってきたので、俯きかけていた顔を上げると私の前にはセンラがいた。
すると彼は私の隣に一緒になって座り込んで、私の話を聞いてくれた。
「自分の足の引っ張りように凹んでた。全然できないんだもん。」
「あ〜、見てましたよ。佑月さん、昔から運動苦手でしたもんね〜。」
「折角理恵が誘ってくれたし、クラスの子とも仲良くなるチャンスだったのに。」
「ん〜、センラやったら変な気ィ使わんでええし、俺と練習します?手取り足取り、1から10まで教えたるよ。」
「うんありがとう、でもどうせ上手になれないのみえてる....」
「それでも、佑月さんの頑張りは皆気づくと思いますし、そこで受け入れてくれないならそんな奴と仲良くなる必要ないですよ。」
「ん、」
「嫌なことしてくる奴おったら、センラが成敗したるから!ほら、頑張ろ佑月さん。」
そう言ってセンラは突然立ち上がり、笑顔で私の頭を撫でた。なんだか、くすぐったかったけど嬉しくて、元気が出た。
今までも、何かに悩んでたらセンラが話を聞いてくれて、背中を押してくれたんだ。
「私、頑張るね。練習してくる。」
「うん、行ってらっしゃい。」
最後に「ありがと、」と声をかけて理恵のもとに戻った。
_______センラは走っていった私の背中を微笑ましそうに見ていた。
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あるじゃん(プロフ) - あいさん» あいさんご無沙汰いたしております。暖かいコメントありがとうございます、嬉しい限りです泣 長らくお待たせいたしましたが、今後ともよろしくお願いいたします!更新頑張ります。 (2021年4月11日 13時) (レス) id: 2f7ed6fc05 (このIDを非表示/違反報告)
あい - おかえりなさい!!これからも更新頑張ってください! (2021年4月10日 18時) (レス) id: dad9695123 (このIDを非表示/違反報告)
みね - 更新、頑張って下さい!めっちゃ楽しみです!!! (2020年7月30日 23時) (レス) id: 2329b8e021 (このIDを非表示/違反報告)
白瀬(プロフ) - コメント失礼します…!!私が昔から読んでいた少女漫画と内容がそっくりで、めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年6月29日 7時) (レス) id: 29052aa6a9 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 本当ですか…?良かったです…文才足りんと悩んでいたので… (2020年5月13日 21時) (レス) id: b5c026bc9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あるじゃん | 作成日時:2019年11月25日 0時