隣のギャル系女子さん ページ27
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一週間。一日が七回。二十四時間が七回、つまり百六十八時間。
言い方を変えようと、結局は同じことだ。しかし、大分感じ方が変わってくる。俺はそれを初めて体感していた。
たかが隣人が変わっただけなのに、なぜこんなにも毎日が違うのだろう!前はもっとのびやかに笑えたし、時間はゆっくり感じたけれど退屈ということはなかった。
朝原さんが俺を避け始めて一週間。少しは慣れたかというと全くそんなことはなく、不満は募るばかりだった。
「おはよーさん」
「……宮くん。おはよう」
気まずそうに俯く朝原さんのつむじを見下げる。最早、それが俺の朝練後の日課になっていた。
朝原さんは会話の際、必ず目を見る人だった。大きすぎる瞳が今や懐かしい。わざわざ許可を取った呼び方も「宮くん」に戻っていて、物理的にも精神的にも距離を置かれている。
「また朝原さん?侑はアホやな」
「はあ?」
「んで、朝原さんもアホや」
すごすごと撤退してきた俺に、新しい隣人は意味の分からないことを言う。理由もなく罵られた。なんなら朝原さんも巻き添えを食らっている。
「自分らむず痒いわ〜」
「どういう意味やねん」
「モテ男は大変やな、ってこと」
ますます訳が分からない。彼女もこれ以上を語る気はないのか、ふらりと教室を出て行ってしまった。
朝原さんの席をちらりと見やると、何事か男に話しかけられて、眉を下げて少し困ったように笑っていた。
朝原さんは別に人見知りではない。友達偏差値が低いだけで。異性なら彼女と仲がいいのは俺だったが、これから他の男と仲良くなる可能性もあるわけだ。そう思うと、無性にイラついた。
「だーっ、もう!貧乏ゆすりやめーや!」
ホームルーム後、隣人がブチ切れた。どうやら無意識に貧乏ゆすりをして、カタカタと音をさせていたらしい。
「なに容量の少ない頭でうじうじしてんねん!さっさと直接聞きに行ったらええやろ!」
「はあ!?それが出来とったら苦労しとらんわ!」
「あんたがそこで躊躇しとる時点で朝原さんは特別なんやって!アホ!」
さっさと突撃してこい、と鼻息荒く言い放つ。往生際悪く食い下がる俺に、朝原さんと正反対のような彼女は念を押した。
「乙女心と秋の空」
ぎくりと動きを停止する。昨日銀も女子の機微なんかわからんと匙を投げていた。これには弱い。
「もう友達やと思っとるのは侑だけやったりしてなあ?」
隣人はにこりと笑って、分かっとるな、と言った。
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せなけいこ - この夢主ちゃんの性格も、少女漫画のヒロインな宮侑もめっちゃ好きです!この作品を生んでくれてありがとうございます。性癖に刺さりまくりです!! (2020年9月18日 15時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - mimiさん» お返事が遅れてすみません!色々考えたのですが、本編はここで終わりにします。しかし私としても書きたいネタがまだたくさんあるので、そのうち別作品と纏めて短編集を出そうかと…。なので、気長に待ってくださると嬉しいです。 (2020年3月5日 1時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - さかきさん» ただ私がこの主人公もミヤツムも好きなので続いて欲しいっていう我儘なのですが…( ; ; )もし続きを書こうか少しでも考えてらっしゃるならぜひ見たいです…! (2020年3月2日 3時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - mimiさん» 初めまして、まず初めにご愛読ありがとうございます。ごめんなさい、話数の問題で断念したんですが、やっぱり終わりにしては歯切れが悪いですよね…!?もう少し何とかできないか検討してみます! (2020年3月2日 0時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - はじめまして。こちらずっときゅんきゅんしながら読ませて頂いてました…!最後、終わりとなってますが完結なのでしょうか( ; ; )続きを楽しみにしてたので… (2020年3月1日 14時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さかき | 作成日時:2019年9月24日 23時