俺が甘かった ページ23
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鬱陶しい髪の毛はヘアピンで留められ、俯いても視界を妨げない。前髪も同じようにバッテンにしたピンで留められて、いつもより額が見えていた。
「可愛い」
「そういわれると複雑なんやけど」
「なんで。それにしても、宮は本当に顔が整ってるね」
出た、朝原さんの人たらし。俺は身構えた。朝原さんは人と関わることが少ないからその才能が台頭していないだけで、実はかなりの人たらしの才能を持っていると思う。褒め殺しなんて彼女にとっては朝飯前なのだ。
「可愛いのも似合うね。おでこ出したらちょっと幼くなって新鮮」
「せやろ？俺、昔はよう女に間違われたんやで。赤ん坊のころの話やけどな」
小さいころの宮、きっと可愛かったろうなあ。そうごちる朝原さんは、確か子供好きだった。友達が少ないのと同じ理由で嫌われてしまうらしいが。
それきり朝原さんの興味は俺の幼少期に向いたらしい。いかに下心のない誉め言葉になれていない俺といえども、伊達に約三か月この変人と隣人をやってきていない。最近ではいきなりの剛速球の誉め言葉を、危なげもなくいなせるようになっていた。どや、猛攻を防ぎきったったでと密かにドヤ顔をかました。
「赤ちゃんの宮、絶対可愛い……」
「まだ言うとるん、それ。そんなええもんやないでー、治もおるからおかんは大変やったろうし」
「さむ？」
「えっ、知らんの？」
あまり噂の類に興味を示さない人なのは知っていたが、ここまでくると感心ものだ。自分で言うのもなんだが、俺たちは校内で有名な存在であり、兄弟喧嘩なんて些細なものが名物扱いされているほどだ。
「治はな、俺の兄弟。なかなか似とるんやで」
「へえ、……そういえば、宮兄弟って聞いたことある。このことかあ」
朝原さんが納得したようにうなずいたところで、タイミングよく予鈴が鳴る。スカートを翻して席に着いた朝原さんが、あ、と短く声を漏らした。
俺と視線が合うと、とんとんと自分の白い額を叩く。何やら口をパクパクと動かしている。
「お、そ、ろ、い」
それが分かった瞬間、俺は思わず勢いよく顔を伏せた。そう言えば、今は俺の額もあらわになっていたのだった。
「宮って変な人だよね」
ホームルームが終わった後、張本人にそうからかわれた。
「かっこいいの間違いやろ」
そういうところを含めてだよと言われてしまえばもう反論できない。やはり俺は彼女に勝てなかった。絶対返り討ちにしたる、と俺は決心を新たにした。
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せなけいこ - この夢主ちゃんの性格も、少女漫画のヒロインな宮侑もめっちゃ好きです！この作品を生んでくれてありがとうございます。性癖に刺さりまくりです！！ (2020年9月18日 15時) (
レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - mimiさん» お返事が遅れてすみません！色々考えたのですが、本編はここで終わりにします。しかし私としても書きたいネタがまだたくさんあるので、そのうち別作品と纏めて短編集を出そうかと…。なので、気長に待ってくださると嬉しいです。 (2020年3月5日 1時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - さかきさん» ただ私がこの主人公もミヤツムも好きなので続いて欲しいっていう我儘なのですが…（ ; ; ）もし続きを書こうか少しでも考えてらっしゃるならぜひ見たいです…！ (2020年3月2日 3時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
さかき(プロフ) - mimiさん» 初めまして、まず初めにご愛読ありがとうございます。ごめんなさい、話数の問題で断念したんですが、やっぱり終わりにしては歯切れが悪いですよね…！？もう少し何とかできないか検討してみます！ (2020年3月2日 0時) (レス) id: d263cbf7f6 (このIDを非表示/違反報告)
mimi(プロフ) - はじめまして。こちらずっときゅんきゅんしながら読ませて頂いてました…！最後、終わりとなってますが完結なのでしょうか（ ; ; ）続きを楽しみにしてたので… (2020年3月1日 14時) (レス) id: 4447061f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2019年9月24日 23時
