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ぼんやりする頭で上体を起こした。
やけに静かな万事屋には新八も神楽も、そしてAも居ない。
銀時は「はぁーーー...」と深い深い溜息を吐き出して乱雑に頭を掻き毟った。
枕の横にはお盆に乗ったお粥の入った小さな鍋が用意されている。
蓋を取り外し中を確認したがすっかり冷めていて、彼女が持ってきてくれてから時間が経っている事を理解した。
「…迎え、行かねぇと...」
怠い身体を無理矢理動かし、箪笥から着物を取り出し着替える。
早くAに会いたい気持ちとは裏腹に慣れた着付けがもたつく。
風邪を引くと心細くなるというのは嘘では無いらしい。
「一人に、すんじゃねぇよ」
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目が霞む中、いよいよやばいと思っていた所に『銀時...?!』と名前を呼ぶAの声が聞こえた。
それを聞いた瞬間、視界が開けて彼女の姿を認識した。
「なぁ、A」
『ん?』
「もう勝手に行くなよ」
『…分かったよ、銀時は本当に寂しがり屋だね』
寂しがり屋と言われようと構わない。
それは本当の事で、彼女との生活を知ってしまっては、"大丈夫だったあの頃"には戻れないのだ。
「そうだよ、悪いかコノヤロー」
『ふふ、悪くないよ』
繋がれたこの手を離したくない、離さない。
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アカツキ(プロフ) - 〇〇さん» 初めまして、コメント有難うございます。そのように言って頂けて嬉しいです。パスワードの件ですが、現在全ての作品に置いて鍵の掛かっている作品は非公開とさせて頂いています。公開の予定もパスワードをお教えする事も出来ません。申し訳ありません (4月14日 9時) (レス) id: 7588857b81 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - すごくよかったです 読んでてドキドキしてなんかもう最高でした!! あの質問なんですけどパスワードがかかってる小説あるじゃないですか、その、パスワードって教えていただけますか? (4月14日 7時) (レス) @page44 id: 6c4944cbd5 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 蘆花さん» 初めまして、コメント有難うございます。既に完結の目処も立っておりますので最後まで楽しんで下さると嬉しいです (2023年3月28日 12時) (レス) id: 59cea801ed (このIDを非表示/違反報告)
蘆花(プロフ) - やだステキ応援してます! (2023年3月28日 12時) (レス) @page11 id: bf60b993eb (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 東雲さん» コメントありがとうございます。出会いについてはこれから少しだけ書けたらなと思っておりますので楽しみにして下さると嬉しいです (2023年3月27日 19時) (レス) id: 61673d253f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アカツキ | 作成日時:2023年3月25日 20時