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少女を拾った翌日、お館様からの伝達が来た。


「しばらく任務はしなくていい、かァ」


緊急事態以外は少女の傍を離れるな、と。
不死川は庭で蝶を追いかけている少女を見ながら、小さく溜息をつく。


(そういえばあいつ、名前はなんだ?そもそも自分の名前知ってんのか?)


昨日はバタバタしていて彼女の名を聞く余裕のなかった実弥は、ふとそんな疑問を抱いた。

塀の外へ行ってしまった蝶に手を伸ばしている少女に、ゆっくりと歩み寄る。


「おい」


そう問いかければ、少女はキョトンとしながら不死川の方を見た。


「お前、自分の名前わかるのか?」


「んー?」


案の定首を傾げながら丸い瞳で不死川を見つめる少女。


「俺は、さねみだ。お前はなんだ?」


「んーー??」


「ッだァァァ!!!」


元々短気な不死川は、我慢していたイライラをとうとう叫びにした。


(なんだコイツ、心底面倒臭ェ!)


ピキピキと浮かび上がってくる自身の血管を無視して、とりあえず深呼吸をする。

その間も、少女は特に驚くことも無く不死川を見つめていた。


「俺はさねみ。さ、ね、み」


溜息をついた不死川は、少女の手をとり自分に当て、名前を繰り返した。

何度も、何度も。


「あ、ゔ、い?」


こてん、と首を傾げながら、少女が震える声でそう話し出す。


「そうだァ、さ、ね、み」


そんな少女の姿に、不死川は少し口の端を持ちあげながら自分の名前を言い続けた。


「あ、う、い」


必死に真似をする少女に合わせて、ゆっくりと「さ、ね、み」と繰り返す。


すると少女は、不死川の口元に指を当てた。

口の動きを知りたいのだ。
瞬時にそう理解した不死川は、更にゆっくり名前を言う。


「さ、ね、み」


「あ、え、い」


「さ、ね、み」


「あ、んぇ、い"」


二人は知らぬ間に必死になっていた。

名前を言う練習をしている内に、時はゆったりと過ぎていく。





ろく→←し



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にゃんこ - 完結おめでとうございます!すてきな世界ですね!無主ちゃんも口がたっしゃに……(おばあちゃんみたいですね)。新作見ました!面白いです! (2020年1月6日 18時) (レス) id: be5a9b4de5 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 完結おめでとうございます!まおうさん良い人で良かった! 実弥と夢主さん一緒にいられる結末で良かったです(*´ω`*)個人的に炭治郎も出てきてくれて嬉しかったです♪ (2019年12月18日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
カボスプレス(プロフ) - 優しい世界ですね...ホワホワしました。いたいのとんでけ のところで思わず一緒に泣いてしまって(*´-`*) ほかのお話も読みに行きます! (2019年11月16日 11時) (レス) id: dccf658439 (このIDを非表示/違反報告)
カズハ(プロフ) - 泣きました…不死川夫婦お幸せに…まおうさんにも幸せになってほしい… (2019年11月5日 19時) (レス) id: 082d86be6d (このIDを非表示/違反報告)
よる - 面白そうだなって読んでみたらあなたの新作読んでました笑笑。それにしても、婚約者ええやつやな… (2019年10月27日 22時) (レス) id: bbe87bcae1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年10月21日 17時

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