第39話 ページ41
『勝てる試合なのに
なーんでパスするかなー』
「やっても楽しくないだろ」
キルアは明らかに勝ちが決まったポックルとの試合をパスし帰ってきた。
次の試合で勝てると確信しているのだろう
『．．．後悔することになるかもね』
「なんか言ったか？」
『別にー』
横目でｶﾀｶﾀと音を鳴らす男を盗み見て、胸に広がった嫌な予感を掻き消すようにため息をついた。
そんなことをしても、結果は何も変わらなかったが．．．
そしてボドロの怪我を理由に、キルアの試合が早まった
『キルア．．．』
「ん？」
『気をつけて』
「？
おー」
この時、棄権してでもすぐに試合を終わらせろと言えばよかったのだろうか
絶対に無理をするなと、言えばよかったのだろうか
レオリオならボドロにも勝てる
そしてここで負けてもキルアがボドロに負けることはない
全部伝えていれば、よかったのだろうか
そうすれば、あんなことにはならなかったのだろうか．．．
「ひさしぶりだね、キル」
「！」
ギタラクルが顔の針を全て抜くと、驚くことに彼の顔が異様な音をたて形を変えた
真っ黒で大きな目に、長髪で黒髪の彼はどうやらキルアの実の兄らしい
彼を見たキルアの表情が困惑と恐怖に塗り替えられる
「母さんとミルキを刺したんだって？」
「まぁね」
「母さん泣いてたよ
感激してた
あの子が立派に成長してくれて嬉しい、ってさ」
『狂気じみてるね』
「ああ．．．」
「でもやっぱり外に出すのは心配だからって
それとなく様子を見てくるように頼まれたんだけど
奇遇だね
まさかキルがハンターになりたいと思ってたなんてね
実は俺も次の仕事の関係上、資格を取りたくてさ」
「別になりたかったわけじゃないよ
ただ何となく受けてみただけさ」
「そうか．．．安心したよ
心置きなく忠告できる
お前はハンターに向かないよ」
「！」
『．．．(空気が変わった)』
ここまで飄々としていたイルミの纏う空気が一変し、冷たく重苦しいものに変貌した
「お前の天職は殺し屋なんだから
お前は熱を持たない闇人形だ
自身は何も欲しがらず、何も望まない
影を糧に動く
唯一喜びを抱くのは人の死に触れた時
お前は親父と俺にそう育てられた
そんなお前が何を求めてハンターになると？」
イルミの冷たい問いかけに、キルアは震える声で答えた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます！そう言って頂けるとすごく嬉しいです！これからも作品をよろしくお願いします！ (2022年8月31日 0時) (
レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです！ (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年2月11日 4時
