第30話 ページ32
Aの話を聞いて納得した。
こいつが血まみれだったのも
あの時なぜか近寄ってはいけない気がしたわけも
「(俺が思ってた以上に、こいつは生死のやり取りに慣れてる)
...ま、怪我がなくてよかったな」
『うん
そっちもね』
Aの話を聞くと同時に、俺たちに何があったのかも話をした。
トンパと一緒になったのは災難だったね。
ゴンは流石の一言に限るよ。
クラピカは意外に激情型なんだ。
レオリオは相変わらずというかなんというか。
キルアとは戦いたくないなー。
とか
俺の話に一つ一つ反応を示してくれる。
「(なーんか
こいつと話してると心地いんだよなー
聞き上手ってやつか?)」
横でニコニコと笑うこいつは、到底近寄り難い雰囲気を放っていたあの時の人物とは程遠い人間のように思えた。
「...俺は、まだまだお前のこと何も知らねえんだな」
『え?』
すると、ポカンとした顔をしてたAが急に声を上げて笑いだした。
「あ!何笑ってんだよてめえ!」
『だって...っ
キルアが可愛いから!』
「はあ!?」
訳のわからないことを言うAはひとしきり笑うと
目尻に浮かんだ涙を拭ってこう言った。
『私のこと知りたいと思ってくれてるんでしょ?』
「...は」
『私だって自分のこと知らないのに
なのにキルアはそんな私のことを知らない“まだ“何も、って言った
この先私のことを色々知りたいって言ってるように
私には聞こえる』
柔らかな笑みを浮かべて笑ったAに、自分の顔が一気に熱を帯びていくのがわかった。
「べ!別にそんなんじゃねーよ!!」
思わず顔を背けて
その勢いのまま草の上に体を預けた。
横からまた小さく笑う声がして、なんとなく体を丸めて目を瞑った。
『...ありがとう、キルア
私も、キルアのこともっと色々知りたいよ』
「!」
優しい手が、俺の髪を撫でる。
俺は驚いて、思わず目を見開いたけど
その心地よさにだんだんと瞼が落ちていった。
『おやすみ、キルア...』
優しい声に、瞼の裏に残ったAの笑顔を思い出して
俺の意識はゆっくり暗闇に落ちて行った。
『君は本当に、優しい子だね』
キルアside終了
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SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます!そう言って頂けるとすごく嬉しいです!これからも作品をよろしくお願いします! (2022年8月31日 0時) (レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです! (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年2月11日 4時