第2話 ページ4
「よお!
お嬢さん新人だろ?」
『?』
「あいつ...」
少女に話しかけたのはトンパだった。
おそらく彼女にも下剤入りのジュースを飲ませるつもりなのだろう。
案の定トンパはツラツラと言葉を並べた後にジュースを差し出した。
少女がジュースを受け取ったのを見てキルアは二人に近づく。
歳が近そうな彼女に同情したのだろう。
ジュースを飲ませないために傍に近づいたキルアは少女のとある言葉に足を止めることになる。
『下剤ですか?』
「ぇ...」
「!」
少女は缶の蓋を開けることもなくジュースの中に混入された下剤を言い当てた。
「ぃ、いやいや!
そんなもの入れてるわけないだろ〜」
トンパは冷や汗をかきながら必死に誤魔化す。
『...』
少女はそんなトンパをジッと見つめゆっくり口角を上げた。
『私、ジュースに下剤が入っているだなんて言ってませんよ?』
「っ!」
『あなたの服や指から下剤の匂いがしたんですよ』
トンパが使用した下剤は味もほとんどしなければ匂いもほぼゼロに近い代物であり、毒を見抜いたキルアですら匂いまでは感じることはなかった。
『その下剤、とある植物から作られてるんですよ
知ってました?
加工前の状態は強い刺激臭を発しているものの葉を炙りすり潰すと匂いが消えるんです』
「...っ」
『まあ、腹痛や下痢なんかの副作用を起こす毒の成分は葉ではなく根っこの方にあるんですけどね』
ニコリと笑った少女を見てトンパは顔を青くさせその場を早々に立ち去った。
『あ...ジュース返しそびれた...』
少女は片手に握られたジュースの処分方法を考え始めた。
『捨てちゃっていいかな
その辺に置いて行っても怒られないよね?』
「ねえ、それ頂戴よ」
『?』
ジュース片手に神妙な顔でぶつぶつと独り言を言う少女にキルアは声を掛けた。
少女は不思議そうな顔をしたが、これ下剤入ってるからやめた方がいいよと冷静に返答する。
「俺毒効かないから大丈夫」
それだけ言って少女の手からジュースを奪いあっという間に飲み干す。
少女はそれを黙って見届けた。
「なあ、君いくつ?」
『...たぶん、14』
「たぶん?」
『うん』
「なんで?」
『覚えてないんだ』
「へー...(変な奴)」
2人で壁際に座り込む姿は、まさかあの難関なハンター試験とは思えない。
「そうだ、名前聞いてねえや
俺キルア
そっちは?」
キルアside終了
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SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます!そう言って頂けるとすごく嬉しいです!これからも作品をよろしくお願いします! (2022年8月31日 0時) (レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです! (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年2月11日 4時