第22話 ページ24
「(試練の道
数ある扉の中でも特に難易度の高い道だ
試練の数は3つ
どの部屋も難易度が高く合格率は限りなくゼロに近いだろう)」
まずは、この迷宮をどう攻略するか...と
思考を打ち切ったリッポーの目に映ったのは、最初の扉を全て開け放ったまま直立するAの姿だった。
「ふん、早くも悩んでいるようだな
...ん?」
画面の中のAは目を瞑ったまま、何やら鼻をぴくつかせ匂いを嗅いでるような仕草をしている。
3つの扉の前を行ったり来たり
それを何度か繰り返したのち、目を開きなんの迷いもなく右の扉をくぐった。
「!?
(あの扉は正解の扉!
わかって通ったのか?いや!そんなはずはない!
この迷宮にはヒントになるようなものは置いていないんだぞ!)」
リッポーが困惑する中、Aは先ほどと同じようにさらに正解の扉を選び抜きいくつもの部屋を潜っていく。
「なんだ!?
何故わかる!!?
...!!まさか...!
匂いか!!?」
そう、Aは扉から吹いてくる僅かな空気の違いを異常に発達した嗅覚により嗅ぎ分けていたのだ。
間違った扉は行き止まり。
リッポーのこの言葉がAのヒントになったのだ。
『(間違いの道が行き止まりなら、空気の流れはほとんどない
でも正解の道は次の部屋に繋がっている
本当にごく僅かだけど...私の嗅覚ならこれくらい嗅ぎ分けることは可能!!)』
正解の道も、扉は閉ざされているため大きな空気の流れはないだろう。
しかし、不正解の道よりも空間は広く、扉が設置されていることで僅かに漏れる空気とそこに溜まっている空気を、Aは完璧に嗅ぎ分けていたのだ。
恐らく嗅覚は数キロ先の香水を辿ることができると言っていたゴンよりも発達しているだろう。
そして同時に、Aは嗅覚のみではなく、五感の全てが常人離れしている。
まさに獣のそれなのだ。
今のAは嗅覚だけではなく、風を耳で、肌で感じ正解の道を選択している。
本来高難易度であろうこの試練の道、Aにとっては初めから用意された正解の扉をくぐるが如く容易いだろう。
「(なんて子どもだ...
...しかし、会長は何故あそこまでこの子供を...)」
リッポーのこの疑問は、わずか数時間後に明らかになることとなる。
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SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます!そう言って頂けるとすごく嬉しいです!これからも作品をよろしくお願いします! (2022年8月31日 0時) (レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです! (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年2月11日 4時