第14話 ページ16
結果から言ってしまうと、私は不合格だった。
いや、ただ豚の丸焼きを出したわけではない、断じて。
料理はほとんどしたことがないが一応知識はある方だと思う。
レシピ本を見ればできるが...もちろんそんなものは手元にないわけで
なんとか記憶をたどりながら肉を捌いた。
『調味料は、っと...』
確認した感じだと恐らくなんとかなるだろう。
『うーーん
まあ、いいでしょ!』
他の受験者よりは圧倒的に遅くなったが、なんとか完成し持っていくことができた。
『よろしくお願いします!』
2人の目の前に丁寧に盛り付けた皿を置く。
「あら
随分まともなのがきたわね
これは...生姜焼きね」
『はい
あまり凝ったものは作れないので...』
そう、私が作ったのは生姜焼き。
豚料理では定番中の定番だろう。
「ふーん
まあ、見た目は合格ね
盛り付けは丁寧にしてるし」
『ありがとうございます』
「さ、味の方はどうかしら」
一口で全部食べ切ってしまったブハラさんとは違い、ちゃんと一口量を取り口に運んだメンチさん。
『(この試験、山になるのはメンチさんの方
私はまともに料理なんかできないし、この人たちの好みも知らない
何より、
いまだに合格者はゼロ。
正直合格は難しいだろうが...
『(現時点で他の受験者よりは上にいるはず!)』
と、淡い期待を抱いた瞬間の事だ
「ダメね、不合格よ」
『えっ!?』
味わうように料理を食べていたメンチさんの口からは、聞きたくなかった言葉が。
『な、なんでですか...?』
「ちゃんと調理したことは褒めてあげる
肉にもちゃんと火は通っていたしね
調味料も正しいものを選べてる」
『ならなんで』
「その調味料が問題なのよ」
『え?』
「入れるものがあってればいい、ってわけじゃないのよ
醤油入れすぎよ
それに対して生姜少なすぎるわ、砂糖もね
隠し味にフルーツを入れたのは良かったけど
他の調味料の量を間違えたことでフルーツの良さがほとんど無くなってる
不味くはないけど美味しくもないわね」
『そうですか...
ありがとうございました...』
とまあ、そんな感じでみんな同様に不合格を喰らってしまったのだ。
『(料理、勉強しようかな...)』
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SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます!そう言って頂けるとすごく嬉しいです!これからも作品をよろしくお願いします! (2022年8月31日 0時) (レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです! (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年2月11日 4時