やっぱり好き ページ45
練習を終えたメンバー達はいったん部屋に戻り、洗面用具や着替えのジャージをもって各自会話を弾ませながらシャワールームへと向かっている。
そんなメンバー達の横を走って通り過ぎて行くA。
円堂「あ、A!野坂は…」
A「円堂さん!あの、吹雪さんは?」
風丸「吹雪ならまだ一人でグラウンドに残ってるぞ」
やっぱり…と表情を曇らせるA。
A「ありがとうございます風丸さん!」
そういって髪をくくり直しながら嵐の様に去っていくAを二人は顔を見合わせては不思議そうに見ていた。
やっとの思いでグラウンドへたどり着いたAは彼の姿は直ぐに見つけることができた。
Aの存在に気づいた吹雪がタオルを手にしたまま駆けつける。
タオルを持っていると言うことは恐らく休憩しようとしていたところだろう。
吹雪「水瀬さん」
A「…!吹雪さん…」
途端、申し訳無さそうな顔をするA。
吹雪「どうしたの?」
A「あの…せっかく誘って頂いたのに本当にごめんなさい…」
バッと頭を下げるA。
吹雪「大丈夫だよ。水瀬さん。遅れた事には何か事情があるんだろうし…」
それに…と付け加える吹雪。
吹雪「わざわざ走って来てくれたんだよね?」
A「なんで知って…!」
吹雪「だって汗、垂れてるよ?」
A「ん…」
そういって自分のタオルで滴り落ちるAの汗を優しく拭う吹雪。
Aがくるまで一人で汗だくになるほど練習し、自分が使うはずで合ったタオルでAの汗を拭ってくれた吹雪。
その好意がAの胸をきゅうっと締め付ける。
A(やっぱり好き……だな)
ほんのり頬を染めるA。
Aの汗を拭き終えた吹雪はタオルを畳んでベンチに置いた。
吹雪「さて、あと30分しか無いけど始めよっか」
A「…っ!はい!」
残された時間を二人は夕日が見守る中、会話を弾ませながら練習に励んだ。
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作者名:きなこ x他1人 | 作成日時:2019年2月10日 0時