31.善し悪し ページ38
「おい、嬢ちゃん。嬢ちゃんにとって、良い知らせと悪い知らせがある。」
朝、阿伏兎さんに会うと同時にそんなことを言われる。この宇宙空間において、私にとって良いも悪いもあるのだろうか、という考えがよぎるが、続けられた言葉によってその考えが拭いさられる。
「良い知らせからいうと、明日あたりには地球に着けそう、ってとこだなァ。」
「地球に…？」
『地球。』久しぶりの響き。
といっても、別に地球にいる時に、地球という言葉を口にする訳では無い。でも、宇宙で過ごしている私にとっては、なんだか懐かしく感じる。
きっと、ここでの毎日が濃すぎたからだろう。もう長いこと宇宙で暮らしているような気さえしてくるのだ。
と、そんなことよりも。
神威さんの言葉を忠実に信じるならば、予定の一週間は明後日までだったはず。一日でも短くなるのは、私にとってはとても嬉しいことで。
それにこの一日の短縮が、私が戦闘に参加したことが理由だったらなお嬉しいのだが、どうだろうか。
なんてらしくも無いことを考える。きっと地球に帰れると聞いて気持ちが高ぶっているのだろう。
しかし、まだ悪い知らせとやらが残っている。
続く阿伏兎さんの言葉を待つ。
「で、悪い知らせってのが、春雨の奴らが、どうやら地球できな臭い動きをしてるらしくてよォ。明日そいつらの粛清をするって団長が言うもんだから、嬢ちゃんがお仲間に会えるのは結局明後日になりそうだぜェ？」
ぬか喜び、と言うやつだろうか。
話の流れ的に、良い話からしなければならなかったのだろうが、早く真選組に戻れると思ったのに、なにしやがんだ畜生。
まぁ、今は早く地球に戻れるだけいいと考えるしかない。
「つーわけで、お前ェさんにとっちゃァ雑魚処理だろが、一応用心するこったァ。」
そういうと去っていく阿伏兎さん。後ろ姿に「ご報告、ありがとうございます。」といえば、返事の意だろう、ゆらりと片手を上げる。
さて、朝食を終えたら書類仕事だ、と意気込む。
にしても、ほぼ宇宙にいるというのにいったいどこからそんな仕事が発生するのだろうか、なんて疑問を抱きながらも、コツコツと資料を片付けるのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛梨沙(プロフ) - 面白いです。更新楽しみにしてます。頑張ってください (2019年12月23日 1時) (
レス) id: cd2953f50f (このIDを非表示/違反報告)
飽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます！Twitterにもこちらにも感想を下さるなんて…!!更新頑張ります！ (2019年8月16日 20時) (レス) id: a32114e1fa (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - Twitterでのとあるふぉです！飽さんの小説最高でした、、神威かっこいい、、！！応援してます！これからも頑張ってください！ (2019年8月16日 18時) (レス) id: 7701c78eca (このIDを非表示/違反報告)
飽(プロフ) - ツナを食す夢猫さん» ありがとう…！！しっかりなんて…(∩_∩) 本当に適当に読んでくれて構わないからね！ (2019年8月16日 16時) (レス) id: a32114e1fa (このIDを非表示/違反報告)
ツナを食す夢猫(プロフ) - 飽さんこんにちは()飽ちゃんの文をしっかり読むことは少ないから小説を読めるのが凄く嬉しいです！更新頑張ってね！！ (2019年8月16日 9時) (レス) id: fb2e15c792 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：飽 | 作成日時：2019年8月11日 18時
