30.突飛 ページ37
阿伏兎さんの言葉を借りるのならば、全く、なんてことをしてくれたんだこのすっとこどっこい。
先程の彼の発言は、あくまで『俺の所有物』に何勝手に触ってんだ、という意味で言ったのだと思う。
しかし、勘違いをした団員たちによって、謎の歓声が上がる。男子高校生かよ、と言いたくなる。
めんどくさい事になる前にと、神威さんの首根っこを捕まえ廊下へと引きずり出して来たのが今、というところだ。
「あれ、俺まだご飯終わってないんだけどな」
「食事を中断することになった原因は貴方でしょう…。」
さっきの騒動よりも、夕食のことを心配するあたり、神威さんらしいななんて思ったりもするのだが、今はそんな話ではない。
「あのような紛らわしい発言はしないでください。」
あとまだ数日、ここで過ごさなければならないというのに、非常に生活しにくくなってしまったではないか。
夜兎に紛れての日々も慣れてきたというのに、とんだ爆弾を投下してくれたものだ。
「まあまあ、これでAも絡まれること、なくなるでしょ。」
「……」
…確かに、ここに来てから何度か団員にナンパのようなものをされた。女性がいないこの団では、女性と話すこと自体が珍しいのだろう、と思う。
一応、なんとかサラッと躱してここまで来てはいるが、毎度毎度断るのも申し訳ないし、それがないに越したことはない。
しかし、あのセリフを言われた側の身にもなって欲しい。神威さんの突拍子もない発言は今に始まったことではないが、反応に困る。
「とりあえず、私はもう部屋に戻ります。もしまた食堂に行くようならば、これ以上の発言は控えてくださいね。」
「はーい」
最後にしっかりと釘を刺し、その場を後にした。
…不安な返事だったが。
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「団長、女や酒じゃ、渇きが癒えないんじゃな
かったのかァ?」
「…さぁね。」
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愛梨沙(プロフ) - 面白いです。更新楽しみにしてます。頑張ってください (2019年12月23日 1時) (レス) id: cd2953f50f (このIDを非表示/違反報告)
飽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!Twitterにもこちらにも感想を下さるなんて…!!更新頑張ります! (2019年8月16日 20時) (レス) id: a32114e1fa (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - Twitterでのとあるふぉです!飽さんの小説最高でした、、神威かっこいい、、!!応援してます!これからも頑張ってください! (2019年8月16日 18時) (レス) id: 7701c78eca (このIDを非表示/違反報告)
飽(プロフ) - ツナを食す夢猫さん» ありがとう…!!しっかりなんて…(∩_∩) 本当に適当に読んでくれて構わないからね! (2019年8月16日 16時) (レス) id: a32114e1fa (このIDを非表示/違反報告)
ツナを食す夢猫(プロフ) - 飽さんこんにちは()飽ちゃんの文をしっかり読むことは少ないから小説を読めるのが凄く嬉しいです!更新頑張ってね!! (2019年8月16日 9時) (レス) id: fb2e15c792 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飽 | 作成日時:2019年8月11日 18時