29.酒 ページ34
夕食も進み、これでもかというほどの料理を平らげた団員たちは、次第に酒を飲み始めた。
今までの数日間は飲んでいなかったし、星を滅ぼし終えたし慰労会、ということであろうか。
真選組でも、攘夷浪士の大規模な粛清なんかが終わったあとは、似たようなことをしていた。酒を飲んでバカ騒ぎしている団員たちを見ていると、まるで真選組と変わらなかった。
「Aは飲まないの?」
「私は遠慮しときます。そういう神威さんは?」
「俺も別にいいかな。っていうか阿伏兎に「酔って暴れられでもしたら船が墜ちる」って。」
確かに。暴れた神威さんを止めるのは簡単ではないし、船に穴が開きでもしたら…。
阿伏兎さん、さすがの賢明な判断である。
そもそも夜兎族自体、酒を飲んで暴れたら大変だと思うのだが。まぁ、神威さんがいるから問題ないのだろう。
「そういえばAって、地球生まれなんでしょ?なんで夜兎なの?」
「さぁ。私も気づいたときには地球に…。というか、夜兎族だとわかったのもここに来てからですから。」
そう。私も疑問に思っていたのだ。
資料によると、夜兎の故郷の星は『徨安』というところらしい。その星を調べたいとも思ったが、今はもう滅ぼされてしまったようで。
「俺も生まれは洛陽だし、滅ぼされたから地球に移り住んだってだけなのかもね。」
もしもそうならば、私を武州へと連れてきてくれた両親に感謝しなければ。たどり着いたのが武州でなかったら、そもそも地球という星に行っていなかったら。
宇宙にいる今だからこそ、こんなことを考えてしまう。やはり、早く地球に戻りたい。
そんなことを考えていると、後ろからべろんべろんに酔った夜兎の声が。
「おぉいAさぁん。一杯どうだぁ?」
断るため振り返ろうとすると、肩に回るゴツゴツとした腕。
突然のことで、驚いて固まっていると、轟音と共にその腕から解放される。
音のした方へと振り返れば、壁に叩きつけられた例の団員と、物凄い殺気を放つ神威さんが。
「俺の前でAにナンパとか…殺しちゃうぞ」
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愛梨沙(プロフ) - 面白いです。更新楽しみにしてます。頑張ってください (2019年12月23日 1時) (レス) id: cd2953f50f (このIDを非表示/違反報告)
飽(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!Twitterにもこちらにも感想を下さるなんて…!!更新頑張ります! (2019年8月16日 20時) (レス) id: a32114e1fa (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - Twitterでのとあるふぉです!飽さんの小説最高でした、、神威かっこいい、、!!応援してます!これからも頑張ってください! (2019年8月16日 18時) (レス) id: 7701c78eca (このIDを非表示/違反報告)
飽(プロフ) - ツナを食す夢猫さん» ありがとう…!!しっかりなんて…(∩_∩) 本当に適当に読んでくれて構わないからね! (2019年8月16日 16時) (レス) id: a32114e1fa (このIDを非表示/違反報告)
ツナを食す夢猫(プロフ) - 飽さんこんにちは()飽ちゃんの文をしっかり読むことは少ないから小説を読めるのが凄く嬉しいです!更新頑張ってね!! (2019年8月16日 9時) (レス) id: fb2e15c792 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飽 | 作成日時:2019年8月11日 18時