彼と過ごした一週間【銀魂】

23.兄 ページ28

Hijikata.side

「いるアル。もう一人、私ぐらいの髪色のやつが。私の…バカ兄貴が。」


俯きながらそういうこいつは、どこか辛そうで。俺も総悟も思わず口を閉じた。


「前、地球でアイツと会ったから、その可能性は無くはないアル…。」


そう変わらない調子でいったチャイナ娘は、申し訳なさそうな表情のまま。
妹にこんな顔させる兄とはどんなもんだ。

そして、こいつの "地球でアイツと会った" という言葉。気になったことを聞こうと口を開くが、総悟の言葉によって静止させられる。


「へぇ、お前ェに兄貴がいたとは驚きだねィ。全く、出会い頭に突っかかってくるやつァ、一人で十分でさァ。」


「何言ってるアル！いつもお前から殴りかかってくるんだろうがァ！！」


重苦しい雰囲気も束の間、またいつもの喧嘩に戻る2人。始まったらキリがない、と思い、なんとか割って入ることにした。


「で、その兄さんとやらは、地球住みじゃないのか？」


「私もよく分からないけど、宇宙で星を転々としてるみたいアルな。」


宇宙で星を転々と…と、脳内で繰り返す。
つまりだ。きっとこいつの兄は今はもう地球にいないだろう。ということは、連れ去られたAも地球に居ないということになる。…え？


「まさかAさん、宇宙に…」


総悟も同じことを思ったようで、苦笑いでそう告げる。


「あ、そうアル！結局、Aが連れ去られたってどういうことアルか！しかもなんで神威に…。」


『神威』というのが、例の兄の名前だろうか。
ともかく俺は、一連の流れをチャイナ娘に説明する。するとこいつはジト目で俺を見つめる。


「お前、女子に助けて貰ってここにいるアルか。」


「そうだぞ土方〜。ダサいぞ土方〜。」


「お前ェまでのっかんじゃねェエ！！!」


いくら同じ真選組とは言えど、女に守ってもらうのはプライドが許さない。はずなのだが。
アイツ、女って強さじゃねェぞ？…もうアイツの前では二度とマヨネーズを食わないと決めている。


「でももし本当に宇宙に行ってるんだったら、待つしか方法はないアルな。
…だから今すぐこれはずせヨ。」


「あ、おう、悪かったな。」


そう言って縄を外すと、顔に向かって拳が飛んでくる。咄嗟に避けたが、後ろにいた総悟によってって盾にされ顔にクリーンヒット。


「ゴフッ！総悟何しやがんだてめェ！！」

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