25話 ページ25
しかし、いくら経っても人混みから離れないので、逆にそういう狙いなのかと気付く。
人混みの中、襲えないだろうと知った上での行動だろう。
パパ黒側も、呪詛師があまり同じところには居られないだろうとは思っているだろうけど、そこまで時間を掛けたくもないだろうな。
着いてきてはいるけど手が出せないって感じ。
となると、ここは私が誘導した方が早い。
できるか分からないけど呪詛師を誘導させよう。
そうと決まれば、俵担ぎをされたまま服を引っ張ってみる。
案の定、呪詛師は「ああん?」と苛立ちを含んだ声を出して止まってくれた。
......よし。
「おじちゃん、トイレ行きたいぃー! 漏れちゃうよぉ〜」
ピクッと呪詛師の肩が跳ねる。
ついでにパパ黒の動きが止まった気がした。
「ああ!? 俺は今それどころじゃ...」
「いいの? 私がここで漏らしたら皆が注目して誘拐犯がここに居るってこともバレちゃうよ? そしたら皆がおじちゃんを捕まえに来るよ?」
_____本当に、いいの?
オーラをちょこっとだけ出しながら念押しをすると、呪詛師の額に冷や汗らしきものが流れた。
目をじっと見て、もう少しだけこの男にのみオーラを流す。
すると男は汗をダラダラ流しながら「あそこのビルに入る」と言ってくれた。
後ろから着いてきてるパパ黒がプルプルと肩を震わせているのも同時に見える。
五感が冴えてるから絶対聞こえてるな、あれ。
聞こえてるなら言ってみるかと思い、小声で「今から11時の方向にあるビルのトイレに入る」と言ってみた。
するとパパ黒をチラッと見たら目を見開いていたので、私の声が聞こえていることを確認。
なんとなくサムズアップもしておいた。
今度は呪詛師ではなく私をずっと見ていることにしたようだ。
ちゃうねん、呪詛師見てあげて。
424人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください楽しみにしてます (2022年8月30日 1時) (レス) @page18 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - この展開からどうなるんだぁー。楽しみすぎて夜しか眠れない。 (2022年8月28日 21時) (レス) @page16 id: 6bb8b6637d (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - 面白くて好きです!更新は体に気をつけてです! (2022年8月27日 19時) (レス) @page12 id: 6bb8b6637d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:_ | 作成日時:2022年8月24日 22時