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Aside
風見さんを木村に任せ、私はキュラソーを追う。
途中観覧車を振り返ってみるが、観覧車は坂で加速していた。
嘘でしょ、まずいって!
キュラソーが向かった先は工事機器が置かれている場所だった。クレーン車の前でキュラソーは立ち止まる。
これでどうするつもり!?
「ベイリーズ、貴方警察側よね?」
「……あぁ」
キュラソーは私に近付いて来て、真剣な顔で言った。
「観覧車に乗ってる子ども達に伝言をお願い。約束、守れなくてごめんなさいって」
「え? ぅぐッ……!」
伝言を言ったキュラソーは私の顔目掛けて回し蹴りをした。予備動作も殺気もなく仕掛けられたので避けることが出来ず、モロに食らってしまう。
頬にヒリヒリとした痛みと、頭がグラグラとなり、一瞬何が起きたのか分からなかった。
すぐに体勢を立て直してキュラソーを見ようとしたが、そこにキュラソーはいなかった。
どこ行った!?
周囲を見渡すと動いているクレーン車が1台。クラクションを鳴らされ、窓からキュラソーが叫んだ。
「頼んだわよ、ベイリーズ!」
「は!? ちょ、キュラソー!? 待ってキュラソー!」
キュラソーは私の制止を無視し、観覧車の方へと走って行く。
バカ、それひとつで止められるわけ……!
観覧車を見上げると、イルカショーのスタジアム側に大きなサッカーボールが膨らんでおり、勢いはかなり緩和されていた。
あの状態で横から衝撃があれば止められるかもしれない。キュラソーはそれを捨て身で……。
「待ってよ……約束って何だよ、自分で言えよ……!」
私もクレーン車で追うにも時間が足りない。走って追いかけるなんてもってのほか。私はただただ呆然と立ち尽くすしかできなかった。
観覧車はクレーン車がぶつかった勢いで少し傾く。だがまだ弱い。
それでもクレーン車のタイヤは一切止まらず、アクセルを踏み続けているのが分かった。
「待てって……!」
地面から土煙が上がり、観覧車はクレーン車によってさらに傾いた。
風が大きく吹き、土煙が目に入る。
数度瞬きをしている間に観覧車がガクンと下がり、クレーン車を潰したのが見えてしまった。
その後すぐにクレーン車は爆発し、観覧車は完全に……停止した。
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芹奈(プロフ) - ちなみに今は純黒の悪夢の所です、陰が活躍してきてて、予想が当たっていればいいなあと思いながら読んでいます!これからも更新頑張ってください! (2021年5月28日 8時) (レス) id: 6feba31318 (このIDを非表示/違反報告)
芹奈(プロフ) - コメント失礼します。面白すぎて1から6まで一気読みしてきました!そこで私の勘違いかもしれないのですが、陰の人たちってもしかして....あの人たちでは?と思ってしまいました...wたくさんの憶測を立てて読めて本当に面白いです!頑張ってください! (2021年5月28日 8時) (レス) id: 6feba31318 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» ありがとうございます! 使わせていただきました! (2020年6月30日 21時) (レス) id: 2dcc01bb7f (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 9ねみさん» いーですよ!めっちゃ嬉しいです! (2020年6月30日 21時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
9ねみ(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» 夜空さん、Wikiの下り、続編のQ&Aで使ってもいいですか? (ネタがなくて続編出すのにてこずってるなんて言えない……) (2020年6月30日 20時) (レス) id: 2dcc01bb7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:9ねみ | 作成日時:2020年6月5日 22時