…だったのに【ポケモン剣盾】

いつも この話 ページ2

この話は





とある人によっては悲惨に思え

とある人によってはもっと辛い人がいると思うだろう





そんな絶妙な日々を小さい頃過ごしてきた





施設にで育てられた子供は決して少なくはない

私もその一人だった

里親が見つかる者もいれば

成人まで施設暮しだった子もいる





私のいた施設はあまり良くなかった

どこがと問われれば表しにくいのだけれど

良くないということは幼い自分でも分かっていたが

この施設にいるしか生きる術はなかったので

ただ黙って日々を過ごしていた





５歳の時









なんの前触れもなく施設を追い出された

持っているというか

白いワンピースただ一枚を身にまとって





抵抗はしなかった

する理由がなかった

今まで衣食住を施してくれたのだ

何も言うすべはない





幼い私は歩いた

ただただ歩いた

雨に降られようが足が切れようが

倒れるまで歩いた





幼いながらに死を覚悟し

もう開かないであろう目を閉じた









のだけれど





目はすんなりと開けられ

木々だった視界には何かが居て

そちらに視点を合わせると

ポケモンというのが分かった

施設でも何度か見た事はあったが触れたことは無い





目の前に現れたポケモンは青い実を差し出し

食えと言わんばかりに口元へと持ってこさせる





それを口いっぱいに齧ると

口の端から果汁が流れた





まだ熟されていなかったのだろう

もしかしたら元々甘くない木の実だったのだろうか

甘くも美味しくもない味だったが









私はこの味を忘れることは一生ないだろう

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