若宮隼人_4 ページ47
そんな矢先である。
隼人は、コンビニに行く、と一人で出かけ、杯戸町の交差点でトラックに轢かれ、
命を落とした。
運転手の話では、急にふらっと歩道から現れたらしい。
自ら飛び込んだのか
ぼんやりしていて、道路に足を踏み入れてしまったのか
それは、誰にも分からない。
笑ってはいるものの、夜に震えだしたり、精神的に不安定であることを分かっていた結子は、
一人で大丈夫だから、という言葉を信じて送り出した自分を責めた。
後を追おうとした結子を、守と真人が必死で止め、その後も精神的に不安定だった数年間2人は結子を支え続けた。
交差点近くの路地で、葵は事故直前の隼人と会っていた。
「ちょっと、そこのコンビニまで行くだけだよ。大丈夫。」
同じく、そう言って笑った隼人とそのまま別れた自分を、葵は責め続けた。
警察官である父 景輔と、どう接していいか分からず、行き場のない感情をぶつけてしまう自分も嫌になり、高校3年になると、葵は家を出て寮に入った。
父親とは、それから半年会わずにいたのだ。
若宮家にはもちろん,結城家に,葵自身に深い傷を残した事件だった。
隼人が死んでから,例のUSBは組織のメンバーである男子学生のものであることが判明した。元データの一部が,厳重にパスをかけていた彼のPCから見つかったのである。
USBは,講義室か図書館かで隼人のカバンに紛れ込んだものである可能性が大きくなり,
隼人の容疑は晴れたのではないか,と騒ぎ始めたマスコミの報道は,若宮家,葵にとっては,逆に辛いものだった。
無実の人間を長期間の事情聴取で追い詰めた、ということで、警察官を訴えるよう、茅野は助言をしたものの、
結子の精神状態を考え、これ以上傷を深めないよう、若宮家はそれを選択しなかった。
気持ちの整理がついて、闘う気になれば、全力で力になります。
茅野はそれ以上は言わなかった。
警察官になることを目指し,武道を習い,勉学にも励んできた葵は,
この事件をきっかけに,弁護士を目指すことに決めたのである。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時