再度の面会_3 ページ27
15時。
留置場の受付で必要事項を書類に記入し、面会室へ向かう。
『神山君。』
「はい?」
『今日は、あくまで、木本の“弁護人”として面会するから。
木本の味方、で良いわよ』
「え?」
『出来ればちょっと大げさなくらい味方でいてくれた方が良いかな』
先日とは真逆のことを話す葵に、やや面食らう神山。
でも、確かに彼の弁護を引き受けた以上、そういうことになる、のか、と納得する。
『とりあえず、昨日と同様、必要なことはメモお願いね』
そんなことを話していると、警官とともに木本が面会室へ現れる。
『こんにちは。木本さん』
「あぁ。」
やはり、ドカッと椅子腰を下ろす木本は、トーンの低い声でそう答えた。
しかし、
『木本さんの弁護、お引き受けすることにしました。』
という葵の言葉を聞いたと同時に、
急に目線を上げ、声のトーンをあげる。
「本当か…?」
「じゃあ、あの刑事、なんとかしてくれよ!自白は強要されたもんだって!」
やや興奮気味に、こちらに身を乗り出してくる木本は続ける。
『昨日、言っていましたよね。机を蹴り飛ばされたり暴行を加えられたって。取り調べ室のような密室で…、辛かったですね…』
昨日とは一転、木本の言葉に感情を傾ける葵。
「そ、そうなんだよ!あいつ、俺に…!」
『暴言も吐かれた、んですよね…』
ふっ、と、声高に訴えていた木本は、瞬きを繰り返し、表情を小さく歪める。
「だから、そう言っただろ!クズって、お前みたいなクズは…って…!」
(この言葉は、本当…?)
その変化を見ながら、葵は思考を回転させる。
『それは、許せませんね…。
あ…、机や椅子を蹴り飛ばされたとき、怪我をしたということはありませんか?』
ふと、葵が問いかける。
「怪我…
あ!こ、これ!」
木本がトレーナーの袖をめくり、右腕に出来た4-5cmほどの茶色っぽい痣を見せた。
「これ、あいつに机を蹴られた時に出来たやつだよ!」
『なるほど…これは…証拠になるかもしれませんね』
その言葉に反して、
木本が主張してくる痣に目線を落としながら、
葵は違和感を覚えた。
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作者名:white12 | 作成日時:2019年7月1日 21時