またね、の続き<K.N>

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｢A、香水変えた？｣


部屋に入るなり、いきなり抱きつかれてそんなことを言われる


｢なんか中島みたいな匂いする｣


クンクンと首元の匂いを嗅がれて、くすぐったい


｢香水忘れちゃったから社員の子に借りたの｣


自然と口から出てきた嘘に、自分でも良く言えたなあと感心してしまう



｢ふーん、いつものが良いよ｣


納得してくれたのか、お風呂場に行って浴槽を洗い始める風磨

良かった、バレなかった

風磨は人のことを見ていないようでよく観察している所があるから鋭い

そんな風磨にずっと嘘を突き通せるとも思っていないから、いつかは言わなければならない



けど、なんて言う？


健人と会った

たまたま入ったバーが健人の行きつけだったみたいで



予定を決めて会っているわけでは無いし、

健人と会う時はいつも偶然


だから、普通にそうやって言えばいいのに

隠してしまうのは後ろめたさがあるから



現に、さっきは頬にキスされてしまった


無かったことにしてしまえばいいけれど、思い出すだけで胸がドキドキと高鳴るから

忘れることなんて出来ない


どうしたものかと思いながら、浴槽を洗ってくれている風磨にありがとうと伝えリビングのソファに座る


どっと疲れが押し寄せてきて、眠気がやってくる


このまま眠ってしまえば、何もかも忘れられそう

そんなことを思いながら目を閉じれば、すぐに風磨が戻ってきて



｢ダメだよーA、寝るのはお風呂入ってから｣


私の隣に勢いよく座ってくる


｢10分だけ｣


そんな私のわがままに少し困ったような顔をしながらも

｢お風呂湧いたら起こすからね｣

風磨はそうやって優しく言う



そういう所、好きだよ


私、ちゃんと風磨を好き

なのに、なんで言えなかったんだろう


健人の目を見てはっきりと｢風磨のことが好き｣と言え無かったのは何故なんだろう



わからない

多分、これ以上考えても分からない



そっと目を閉じて、眠りについた

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