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「あのー、お客さん
この辺でよろしいですか?」
重たい沈黙を破ったのは、運転手さんだった
「あ、はい
そこのマンションの前につけてもらえますか?」
ぼーっとしていたら、もう家の近くまで来ていたので運転手さんにマンションの前に車を停めてもらう
扉が空いて、降りようとするけど
健人の左手が私の右腕を掴んで離さないから降りられない
「逃がさないよ」
「何言って」
健人の顔がみるみる近付く
少し動けば、唇が触れてしまう距離
「これが最後のチャンス
ちゃんと言ってくれないなら、俺、本気で奪いに行くけど」
ダメだって、
心臓、バクバクしちゃダメ
ちゃんと言って
風磨のことが好きだって、言え!
そう思っても、口は中々思うように動いてくれない
しばらく経っても何も言わない私に
「Aちゃんが悪いからね
俺、知らないよ」
健人はそれだけ言って私の頬にキスを落とした
あまりに大胆な行動に驚きを隠せなくてあたふたしてしまう
「じゃあね、Aちゃん
あのお店で待ってるから」
それだけ言って、早く降りないの?と言わんばかりの顔で私を見つめる健人
運転手さんにも申し訳ないし、早々と車から降りる
パタンとドアが閉まってすぐに発進するタクシーを見送って
健人にキスされた頬に手を当てる
「A、?」
後ろから聞きなれた声が聞こえてきて
ビクンとあからさまに反応してしまう
「ふ、風磨」
「ちょーど俺も帰ったとこ
奇遇だね」
「そ、そうだね」
「どした?なんかあった?」
「なんでもないよ」
そっかー、あ、今日一緒に風呂入ろ
なんて楽しそうにマンションの中に入っていく風磨の後ろを着いていく
どうしよう、私、風磨に見せる顔無いや
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あちゃん(プロフ) - natsuさん» そんなこと言っていただけて嬉しい限りです!ありがとうございます! (2021年1月8日 7時) (レス) id: d0017b4288 (このIDを非表示/違反報告)
natsu(プロフ) - ふまけん推しにはたまらないです!!! (2021年1月8日 2時) (レス) id: 4884eda99b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年1月6日 4時