正しい過去 ページ40
｢―――ぅ―――て――｣
｢あ？｣
小さな声で何か言っているのが聞こえた。何だ、まだ話す余裕があったのか。口元も爆発してやろうか。
まあいい。何を言っているのか、人であるときの遺言なら聞いてやろう。僕は優しい次期魔王だから。
｢どうして･･････仲良く、しようとしないの｣
｢仲良く？｣
ひゅー、とか細く喉を鳴らして言葉を発する姿は実に惨めだ。そんな人間から、人と魔は仲良く出来ないのかと聞かれている。
ああ、この人間も、正しい過去を知らないのだ。無知は罪。本当に罪だ！
｢教えてあげるよ。僕達魔族は、昔は人と共存してきた！裏切ったのは人間、お前たちなんだよ。お前は知らないんだろ？領土を増やそうとした欲深い人間が、僕達をこの地へ追いやった事実を！！僕達は敵意なんて抱いていなかったのに！先に手を出したのはお前たちだ。だから僕達は殺す｣
｢うﾞッ！｣
ノヴァーレはAの腹を蹴った。体勢を足で蹴ることで変えさせ、深い斬り傷である左肩を踏み体重をかける。Aの悲鳴のうるささに舌打ちをした。
｢僕達にとって"魔族"はお前達人間のことだ。領土を取り戻すために殺す。人間なんて無力な奴が、魔族様に、魔王様に勝てるわけないだろ！！父上が出るまでもない。お前たちは次期魔王である僕が首だけにして王国に送り返してやるッ！！！｣
左肩を蹴り飛ばしつつ爆発を加える。もう悲鳴を上げられないほど痛覚がおかしくなっているのだろう。キャパを超えた痛みは感覚が麻痺して何も出来なくなってしまうのだ。
｢ぉ、まえの｣
｢何だ、まだ言いたいことがあるのか？｣
Aは霞むような視界でノヴァーレを見た。痛覚がおかしいし、体は動かしたくても反応出来ない。
きっとノヴァーレの言っていることは本当なのだろう。実害が出ていないのにこれほど躍起になって魔王を退治したいのも、居場所を奪った報復を恐れていると考えれば納得がいく。
エルは知っているのだろうか。陛下は？もしかしたら王族はみんなそれを知っていて、隠すために民に魔族は怖いものだと吹聴したのかもされない。
それでも、この魔王は――いや次期魔王は倒さなければいけない。
｢おまえの、まけだ｣
｢はぁ？今更負けるわけ、ッ――――ごふっ｣
ノヴァーレは口から血を吐き出した。
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埋夜冬(プロフ) - 千々さん» 最後までお読み下さりありがとうございます！！！もう本当にありがとうございます！超絶励みになってました！(語彙力) 主人公くんに万が一飽きると魔王様が攫う気満々ですが、その前にエル様がガードしにきます。玩具を取られたくないからね！！ガードが多いね主人公！ (2021年3月13日 11時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 完結おめでとうございます！ とても面白かったです！ やっぱりファルの主人公に対する執着がいいなあと思いました。そしてファルが主人公に飽きる日は来ないらしいですが、もしそんなことになったら私が主人公を守りにいきます(( 本当にお疲れさまでした！ (2021年3月13日 11時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます！！作者は更新時間まばらですが、これからも精一杯頑張らせていただきます！今後もよろしくお願いします！ (2020年8月26日 12時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 続編おめでとうございます！ とても楽しくお話を読ませていただいています！ 楽しいお話の中にちりばめられた謎がとても気になって……！ これからも読ませていただきます！ 続きを楽しみにしていますね！ (2020年8月26日 8時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» ありがとうございます！予定では続編でちゃんと終われるはず！頑張りますのでお楽しみに！コメントありがとうございます！ (2020年8月26日 5時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年8月25日 23時
