誤解 ページ44
「これじゃすぐ解けてしまうから、こうしよか？」
そう言って悪戯っぽく笑う折原さんは、色気が溢れ出していて、私は赤面しながら頷く事しかできなかった。
「んふふ、Aちゃんの指、ほっそいなぁ…」
『折原さん、恥ずかしいです…』
「照れてるAちゃんも可愛えなぁ」
『折原さん、聞いてます…？』
「もちろん聞いとるで？」
水族館に向かう道中。折原さんに言われるがまま、緩く繋がれていた手は指を絡められ、いわゆる恋人繋ぎにさせられた。そして数秒後に始まったのがこの会話である。
恨めし気に折原さんを見上げるも、ニコリと微笑み返されて終わり。折原さんに勝てる日はまだ遠そうだ。
エレベーターホールで待っている間、折原さんと水族館のポスターを眺める。
「せや、今日行くところ調べたら、ペンギンに餌やりできるらしいな？」
『あ！私もそれ知ってます！』
「折角やし、やってみたいなぁ」
『そうですね。確か11時頃に1回目があったような…』
「調べてくれたん？偉いなぁ」
『調べたというか、興味があったので…』
「でも自分でそうやって考えて、行動できるんはすごくええ事やで？」
よしよしと頭を撫でられてむず痒い気持ちになる。だが数秒後には子供扱いされているのでは、と思い至りちょっぴり悲しくなる。
「あ、ごめん…！折角お洒落してきてくれた髪型を台無しにしてしまうとこやったわ」
『いえ…大丈夫です…』
「嘘はあかんで？…Aちゃん、あんまり頭撫でられるの好きやないやろ？」
『え…？』
「ごめんなぁ。前から薄々気付いとったんやけど、こんな風にしかAちゃんに触れる勇気が無いんよ」
折原さんの言葉に、私は折原さんに誤解されている事に気が付く。はっとして顔を上げると、折原さんは私の頭から手を退かそうとしていた。
思わず私は繋いでいた手をぎゅっと強く握り直すと、折原さんは動きを止めた。
「Aちゃん…？」
『違っ…違うんです…！』
「え…？」
『あの、折原さんに撫でてもらえるのは…その、嫌じゃないんですけど………』
「けど？」
『子供扱いされてるんじゃないか、って思って…折原さんの彼女にふさわしくないのかな、って………』
「…何やそれ」
こんな事を口に出す事こそが子供っぽいのではないか、と言った後で後悔する。折原さんの表情も見えず、とうとう嫌われてしまったのではないかと不安になった。
『…すみません、やっぱり忘れて…』
「可愛すぎやろ、Aちゃん」
『………え？』
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
