難儀なもの ページ27
「怖かったやろ？どっかで一回休もか？」
『大丈夫です。あの、本当にありがとうございました…！』
合コンの時も今も、折原さんに助けられてばかりで迷惑しかかけていない。こんなにも迷惑をかけてしまっていては、嫌われてしまうかもしれない。そんな恐怖と戦いながら、折原さんにお辞儀をする。
「Aちゃん、顔上げて？」
『はい…』
折原さんに促されて、恐る恐る顔を上げるとそこにはニコニコ笑顔の折原さんが立っていた。私の顔を見た折原さんは一瞬驚いた顔をした後、ふにゃりと笑った。
「…可愛ええな。僕のためにこんなおめかししてくだはったの？」
『いや！…えっと、はい』
「あはは、どっちやねん！」
『お、折原さんの為におめかしして来ました…！』
恥ずかしかったけれど、ここで否定してしまうのは折原さんに失礼だろうと思い直して、素直に認める事にした。思い切って言い切ると、折原さんはピシリと固まった後、じわじわと頬を紅くした。
「…それは反則やろ」
何かを呟いて口元を抑えながら、そっぽを向いてしまった折原さん。その態度に流石の私も気が付く。
(もしかして、照れてる…？)
もしそうだとするならば、少しは自惚れても良いのだろうか。可愛い、という言葉の意味を深読みしても良いのだろうか。
いやでも、私も自分の為に友人が着飾ってくれたと知ったら嬉しいし、誰だって嬉しいような気もする。
期待しそうになる自分の心に必死にブレーキをかけて、溢れ出した気持ちを無理やり心の奥底に押し込める。
「Aちゃん、お腹空いとる？」
『は、はい…！？』
「なら、前に約束した通り焼肉でもええかな？」
『はい、大丈夫です！』
私に話しかけてきた折原さんはもういつも通りで、私も切り替えなきゃ、と言い聞かせて、折原さんの隣に並ぶ。
(隣にいられるだけで幸せなんだから。高望みしちゃ駄目…)
折原さんに会う前まではふわふわと浮ついた気持ちだったはずなのに、実際に会うと嬉しさよりも不安に押し潰されそうになる。恋とはこんなにも難儀なものだったか。
「確かこっちの方だったと思うんよねー。とりあえず歩き出そか？」
『はい…！』
私の歩く速度に歩幅を合わせてくれる折原さんの優しさに気が付いて、また胸の奥がキュッと苦しくなる。
好きになった人と歩く繁華街はキラキラしているはずなのに、ネオンの明かりに嘘くささを感じてしまう自分がいたのだった。
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
