ええ子(センラside) ページ17
向かいの席に座っている彼女は、よく気が回るええ子だった。
飲み物が来れば会話の邪魔をしないようにグラスを回そうとし、料理が来ればほぼ均等に取り分け、空になった皿やグラスはテーブルの端に寄せておき、店員さんが回収しに来る度に「ありがとうございます」とお礼を言っていた。
(ええ子やなぁ…)
それに対して、友人の女の子たちは彼女にお礼の1つも言わず、召し使いのようにこき使っている。
加えて、さっきから俺の斜めの前の子たちがぐいぐい俺の目の前に来ようとしているせいで、目の前の彼女の身体が狭そうに縮こまっていく。
(流石に助け舟を出すべきか…？)
そう考えていた時、グラスを空にした彼女がするりと立ち上がった。ちょうどその時、俺の携帯も鳴る。急いで自分のグラスを空にして、俺も立ち上がる。
『あ、ちょっと席外すな？…はい、もしもし？…はい、はい…』
片手で彼女に先に部屋を出るように促すと、彼女は慌てて小さく一礼してから部屋を出た。…アカン、今の小動物みたいな動きにキュンとしてもうた。
電話の相手はうらたんやった。明日の打ち合わせの確認の連絡をわざわざしてくれたらしい。
「何で急に敬語なんだよ」
『いやぁ、仕事の連絡かと思って、つい反射で言うてしもうたわ』
「あの、すみません…あそこの個室にウーロン茶をお願いします」
半分以上は彼女に気を取られながら、うらたんに返答する。そして彼女が店員さんに話しかけ終わったタイミングで、彼女の肩をつつく。
(伝わってくれ…！)
自分を指差して、人差し指を立てる。彼女は一瞬だけキョトンとした後、ハッとした表情になり、口を開いた。
「ウーロン茶をもう1つ、ですか？」
彼女がすぐに分かってくれた喜びで、大きく頷く。すると、今日初めて彼女が笑ってくれた。花が綻ぶような笑顔に一瞬で心を奪われた。
(めっちゃ可愛え…)
そんな幸せな気持ちになったのも束の間、電話越しにうらたんに低い声で「おい、ちゃんと聞いてんのか？」と脅されて現実に引き戻される。
『…あーごめん、聞いとらんかったわー………おん、それで？』
お説教モードに入り始めたうらたんの話を聞きながら、片手で彼女の頭をポンポンと叩き、口パクで「ありがと」と言ってから、彼女に背を向ける。
(あ、いきなり触られて、引かれてないやろか…)
彼女の頭に触れてからそんな考えがよぎったが、背を向ける直前に見えた彼女の顔が真っ赤だったので、嫌われていなさそうだと安堵するのだった。
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紫苑(プロフ) - リリトさん» リリトさん、コメントありがとうございます！ そんな偶然があるんですね？！自分で名前を設定しておきながら驚きました笑 (2020年11月9日 19時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリト - 漢字は違うけど、本名同じ人おったｗｗ (2020年10月22日 17時) (レス) id: 5c9bfe90e0 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ひよりんさん» こんばんは。メッセージを返信させて頂きましたので、ご確認頂ければ幸いです。 (2020年8月22日 0時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
ひよりん(プロフ) - こんにちは。メッセージ送らせていただいたので、見ていただければ幸いです。 (2020年8月21日 21時) (レス) id: 222226e292 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - センラさん推しさん» センラさん推しさん、コメントありがとうございます！ 神様だなんて畏れ多いです…！ですがありがとうございます、嬉しいです。 これからも頑張りますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年11月1日 18時
