stage.11 ページ17
必死に努力して、1年も働けば、ディーラーとしてのお仕事もオーナーとしての仕事も慣れた。怒涛のような日々ではあったが、何だかんだで楽しく過ごせたのではないかと思う。
「A、これで俺が教える仕事は最後になる」
『…はい』
「年に1度のアニバーサリーパーティー、その開催宣言はオーナーがする」
『…はい』
「原稿は任せる。長々と話す必要は無い。君の言葉で、ゲストをもてなせ」
『はい！』
あの大会の日から、明日でちょうど1年。このカジノのオープンした日は毎年大規模なパーティーが行われる。オーナーが表舞台に現れる唯一の機会でもある為、警備はいつもより厳重だ。用心棒のお兄さんたちがいつも以上に殺気立っている。
「…A、君は本当にこの1年よく頑張った。こんなに優秀な後輩を持てて、俺は幸せだ」
『金城さん…いえ、金城さんの指導のお陰です』
「ふっ…そういう謙虚な所も君の美点だ。どうかそのままでいてくれ」
グリグリと撫でられる感触はもう慣れたものだ。優しく微笑む金城さんの笑顔にほんの少し涙腺が緩む。それを隠すように俯いていると、金城さんの手がゆっくりと離れ、何やらごそごそと荷物を漁り出した。
「A、餞別だ。受け取れ」
『え、これ…』
金城さんから手渡されたのは、Aラインのロングドレス。色は…シルバーだろうか、肩から胸の辺りは花柄のレースになっており、可愛らしい印象を与えてくれる。
「君の年齢が若い事を馬鹿にしたり、それを利用しようとする輩が現れてもおかしくない。しかし、無理に背伸びさせてしまっても君の言葉と齟齬が生じるだろう。このドレスが俺が考えた君を守る最適な武器だ。良ければ使ってやってくれ」
『…ありがとっ…ござっ…います…！』
どこまでも優しい金城さんの言葉に、とうとう涙腺が崩壊した。慌てる金城さんを手で制し、精一杯の笑顔を向ける。
『金城さん、私頑張ります！明日、楽しみにしていて下さい』
「…ああ」
こうして、翌日のパーティーで見事に私は開催宣言のスピーチを行い「歴代最年少の謎の美女オーナー」として話題になるのだった。
…念のため、仮面もつけたお陰で、誰にも「A＝ラヴィ＝オーナー」である事には気が付かれなかったけど、その代わりに色々な人からオーナーへの称賛の言葉を聞かされる羽目になるのだった。
そうして、恥ずかしさで悶絶している所を金城さんにからかわれたのは、また別の話。
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紫苑(プロフ) - リリさん» ちゃんと変換できたみたいで良かったです！ ご不便をおかけして、失礼しましたm(__)m 頑張ります！ありがとうございます！ (2019年10月14日 0時) (
レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - ちゃんと、名前が出来ていました！名前で呼ばれるのが嬉しいです(￣∇￣*)ゞ次も頑張ってください！ (2019年10月13日 18時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - リリさん» リリさん、ご指摘ありがとうございます…！こちらの設定ミスです…修正いたしましたので、名前が変換されるはずです！ 応援ありがとうございます！頑張ります！！！ (2019年10月11日 21時) (レス) id: 25868fbf10 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - 最高です！登場人物の、名前を変える設定で名前を入れても、変えれないのですが……どういうことでしょうか……これからも、頑張ってください！ (2019年10月11日 15時) (レス) id: 3c3ec4405a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2019年10月7日 13時
