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【Blooming tea】 ※一話完結 ページ10

春の温かい日の午後。桜が舞い散る中、木製のテーブルと椅子を出し、赤いチェックのランチョンマットを敷く。籠の中に入れたクッキーと、紅茶を淹れたティーポットをそこに置けば、小さなガーデンになる。緑が生い茂った神樹。葉の隙間から太陽の光がチラチラと差し込み、まさしく今日はピクニック日和だった。

 とぽとぽと紅茶が透明なコップに注がれていく。名の通り赤っぽい茶色のこの飲み物は、いつしか飲んだときを思い出させる。人への優しさを持っている彼を思い出すと、自身の性分にはがっかりする。どうしてもこんなに、どこからどこまで残念な子なのだろう。

「――くーちゃん? もしかして、紅茶は苦手だった?」

 くろの顔を覗き込みながら、目の前にいる女の人は心配そうに尋ねてきた。彼女は雪ノ内 神奈、という人で、くろの所属している少年隊の指導者だ。同じ指導者である彼もそうだけど、神奈お姉さまも大概であり、お人好しだ。いや、ここにいるほとんどの人はお人好しなんだけれど。くろの知っている限りでは、お人好しランキングトップ1、2を争っている。

「ううーん、ちょっと考え事してたの。紅茶はヘーキ」
「そっか。ならよかった」

 にっこりと微笑んだ彼女は、注ぎ終えた紅茶をくろの目の前に出し、自分の分の紅茶も入れ始めた。そんな彼女を見ながら、角砂糖をどっぷり入れた。一口飲んでみると、ものすごく甘かった。……おかしいな、この前は砂糖を入れていたはずなんだけれど。紅茶の匂いは薄れ、砂糖の甘い匂いがした。

「どうしたの?」
「お砂糖入れすぎちゃったみたい……」
「あらら」

 と言いつつも、くすり、と笑った神奈お姉さまにつられて笑ってしまった。神奈お姉さまは椅子に座ると、テーブルの中央においてあるクッキーの入った籠をくろの方に寄せた。

「食べていいからね」
「うん!」

 クッキーに手を伸ばす。すると、桜がはらりと落ちてきて紅茶に入った。桜だからか。入れていた飲み物が紅茶だったからか。どちらにせよ、とても綺麗だった。桜をよけないでひどく甘くなった紅茶を飲む。

「神奈おねーさま、今朝はなんの本を読んでたの?」
「あ、そうそう、それはね――」

 目を輝かせながら語る神奈お姉さまを見て、らしくもなくこの平和な時間が続くといいな、なんて思った。ゆったりとできるこの時間が。


*

北斗さん宅の雪ノ内 神奈ちゃんをお借りしております。

【どうやら つまりそれが正しいようだ】→←【404】 ※



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円藤 マメ(プロフ) - 菜の葉さん» ありがとうございます:) 褒められて照れる。リンク記載の件把握しました、よろしくお願いします!。 (2019年7月19日 19時) (レス) id: 3241387696 (このIDを非表示/違反報告)
菜の葉(プロフ) - 文才がヤバいですッ! クロちゃんの想いとか感情とか、すごい伝わってきます…! こちらの作品を、『リンク集』のところに載せさせていただきますね! (2019年7月19日 18時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:円藤 マメ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年7月18日 22時

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