【派生作品】 空虚のプレゼントボックス 【神樹を守る子ら】

【404】 ページ6

アグノマギアに所属している大先輩や、少年隊にいるみんな、非戦闘員の子でも、樹木医師団の人たちも、もちろん魔法使いの奴たちも、なにかしら特技や能力は持っている。だけどくろには何もない。何もないのだ。魔法も、神からの贈り物と言われるギフトさえも、持っていない。どうしてなにもないの？ 何度問いかけたか。けれど、誰かが答えてくれるわけもなく、"無個性"から抜け出せない自分として生きていくのが苦だった。

　無個性も個性とは言うが、それは慰めにならない。だって言ったその人は無個性ではないはずだから。だから、そういうことを言える。無個性のくろたちは、なんでもいいから、周りとは違う何かがほしいのだ。無個性は、周りとは違う何かはない。飛び抜けた才能がないのである。なんだって構わない。別にそれが良いモノじゃなくたっていい気がする。ただ、なにもない自分から脱却できれば、誰か1人くらいから認められる、そんな気がする――。

　でも、個性がある人も、苦労はしているのだろうとは思う。個性がある故の悩み、それは避けられない。きっと魔法使いの人も、一部は望んでいない能力、見た目になり、悲しんでいる人だっているんだろう。それでもここで生きているということは、他人から肯定されるから。このご時世では、能力がないと否定され続ける。ただ、能力さえあれば肯定される。生き続けられる。

　だから、なんでもいいから、なにか、他の人が持っていないような才能を、身につけたかった。劣等感をなくしかった。認めてもらって、生きていく希望を見つけたくて。

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ps
追加キャラで、魔法使えるようになって見た目が変わってしまったことにコンプレックスを抱えた魔法使いを作ろうとしたんですけど、没ったのでこちらでちょっと匂わせる程度にしました……。

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