【そこに愛が加われば】 ※ ページ15
甘宮 蜜樹 の 話。
胸糞表現が多々あります。苦手な人は見ない方がよいです。
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ただ、欲を満たしてくれるだけでいい。それだけの存在だ。
本当に。つくづく女というものは馬鹿だな、と思う。あいつらは、流されやすい。よほど一途で、偏愛する人間でもない限り、声をかければたいてい堕ちる。「私にはあの人が」なんて建前いらない。どうせ最後に会いにくるのはあっちなのだから。目の下にいる魂の抜けきった倒れた玩具を見下ろしながら、物思いにふける。
人を愛したことなんてなかった。唯一愛していた、といえば両親だろうか。といっても、それは家族愛であって、世に言う"恋愛"の部類に入るものではない。いい男、いい女ならその辺にいる。けれど、それでは足りないのだ。あのとき、あのときに感じた悦楽がひたすらに欲しかった。
――あれは、5、6年くらい前のことだ。妹がいた。名前は甘宮彩という名前で、ぱっと見ても可愛らしい名前ということがわかるのだが、名前だけでなく、見た目も性格も非常に可愛らしい子だった。最期に見た姿は、可愛くなかったけど。ストレスが原因のせいか、髪が抜けたり、ぼさぼさになりと、自慢の長い髪を捨ててボブヘアにし、常に一つ結びにしていた。ただ、それでも常に何かに怯えている表情が、好きだった。当時は、そんな表情にさせた自分に優越感を抱いていた。
どうしてそんな表情をさせてしまったのか。ただ日常的な暴力が続いていただけだ。部屋に入れば既に泣きじゃくっている彩。可哀想に。それでも、嗜虐心を煽っているだけなのに。そうとも知らないで泣いている彩を、酷く愛おしく感じた。
近づけばびくりと肩を震わした彩。そんな動作すら気に留めず、躊躇なく彩の腹を殴った。声にならないうめき声をあげた彩は、腹を抱えて倒れ込んだ。衝撃のせいか、唾液と胃液、食べ物などの吐瀉物が床に飛び散った。ぴっと頬にかすった液体を手の甲で拭い、更に近づいた。けども、玄関の開く音でそれは止められた。両親が、帰ってきたのだ。
いつも、そこで終わる。昔のことを思い出していると、ここで必ず終わってしまうのだ。彩は俺が唯一大切にしていた人……いや、人形と言った方が正しいかもしれない。横たわっている死体から離れながら考える。また、俺の元に戻ってきてくれないだろうか。そうしたらまた、かわいがってやるのに。
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愛+人形
英語にすればわかりやすいんじゃないでしょうか。
わからないあなたは素敵です。
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円藤 マメ(プロフ) - 菜の葉さん» ありがとうございます:) 褒められて照れる。リンク記載の件把握しました、よろしくお願いします!。 (2019年7月19日 19時) (レス) id: 3241387696 (このIDを非表示/違反報告)
菜の葉(プロフ) - 文才がヤバいですッ! クロちゃんの想いとか感情とか、すごい伝わってきます…! こちらの作品を、『リンク集』のところに載せさせていただきますね! (2019年7月19日 18時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)
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