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第十二話 初任務 巫兎視点 ページ15

西の村と言ってもそこまで遠くなく、師匠の家を出発してから三時間ほどで到着した。
しかし日の入りが早く、辺りはすっかり夕焼け色に染まっていた。
ここ数日多くの人が殺されているからだろうか。
村は全体的に暗く、緊張した空気で張り詰めていた。
村人の顔は暗く疲労が溜まっていて、目の奥は絶望で染まっていた。
とても警戒していたようで、私が村へ一歩足を踏み入れた瞬間、
周囲の視線が一気に私に集まった。

「お前さんは、何者だ。
 この村のもんじゃねぇ奴は、とっとと出てけ! 」
「そうだ、そうだ! 」
「俺らの前からうせろ! 」

 すごく、拒絶されてるわね。
まぁ、無理もないけど。
どうしよう、ここから離れたところで見張る?
でも鬼が出てからすぐ駆けつけられる保証はないし。
確かここから少しいった別の村に宿屋があった気がする。
そこならここと近いし、ここほど警戒されていないはず。
とりあえずそこの宿屋で見張ろう。
こんな張り詰めた空気の中、無理やり居座るなんて体力を消耗するだけだしね。

 私はすみませんと言った後、隣の村へ移動した。
予想通り、あまり警戒はされておらず、宿屋の主人は快く迎えてくれた。

 泊めてくれたのはありがたいけど、この宿主、警戒心がなさすぎる。
隣の村で殺人事件が起きてたら、普通少しは警戒するでしょ。

 そう私が思っていると、宿屋の主人は噂話でもするように言った。

「お嬢ちゃんも向こうの村に泊まろうとしたけど泊まれなくてこっちにきたんだろ?
 気の毒だよ、本当に。
 お嬢ちゃんと似たような奴がこっちの村に流れてくれるおかげで、わしらは少し繁盛してるんだ。
 なんでも、村に入った瞬間怒鳴られるんだろう?
 こんなにも幼い子を追い出すなんて、本当、あの村の連中はどうかしてるよ」

 そう、私と同じように考える人が結構いたのね。
幼いって、私こう見えても十四なんだけど……。
年寄りから見れば幼く見えるのかしら?

「でも、殺人事件が起これば普通、警戒するのでは? 」
「あぁ、どうせそんなのあいつらの嘘だよ。
 あの村は昔から閉鎖的でな、何やってるのかさっぱりわからん。
 獣に噛み砕かれたみたいな死体が見つかったって連中は言うんだぞ?
 そんなの信じるわけがないだろう」

 そう言うことね。
結構鬼は獣と間違えられるけど、今回の鬼は面倒そうね。
暑苦しい性格じゃないといいけど。

 私は宿屋の主人に就寝の挨拶をすると部屋に戻り、
いつ鬼が出てきても良いよう、神経を研ぎ澄ませた。

第十三話 飢えた獣 NOside→←第十一話 祖母の形見 巫兎視点



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庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:庵原史穂 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月22日 21時

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