検索窓
今日:20 hit、昨日:5 hit、合計:29,054 hit

205 ページ9

部活終了後、慣れない場所でお仕事をしたおかげでへとへとになった私を、金田一くんと国見くんが家まで送ってくれるらしい。ようやく金田一くんが私と目を合わせて会話をしてくれてほっとした。

ということで、現在帰り道である。しかし送ってくれるのは彼らだけではなかった。

「神風ちゃん美人だよな〜」
「前髪で見えなかったよ」
「そ、そんな、お世辞がお上手で……」
「いやまさかお世辞なわけ」
「ほら及川さん」
「い、いやっ、無理!待って国見ちゃん!」
「お前らもっと端寄れよ、危ねえだろ」

集団下校かと錯覚してしまいそうなほどの人数だ。家が近いからか、青城の皆さんはいつもまとまって帰るらしい。もしくは私というイレギュラーがいるから固まって帰っているのかもしれない。

三年生である松川さんと花巻さんに挟まれて、私はとにかく隙を見せないように会話する。今回呼ばれた時に気をつけることとして、私はこの中の誰にも「弱い人間」だと思われることがないようにしなければいけなかった。

及川さんが私を影山くんの弱点としたようなことが無いよう、徹底して「こいつは取り入れられない」と思わせなければならないのだ。どんなことでも、私が彼の足枷になってはいけないのだから。

しかし、それにしても及川さんは何をしているんだろう?先程から楽しそうな国見くんに散々いじられているらしいが、相変わらず私と目を合わせる気はないらしい。

「そういえば部活では及川の初恋の話が出てたけど」
「アッ!?ちょっ、ま、まっつん!」
「神風ちゃんはいないの?そういう人」

後ろからも前からも注目されてしまって視線が痛い。そんなに期待をされても面白い答えは出せないのだが、とりあえず口を開いた。

「い、いません。そもそも恋愛感情を抱いたことがない、です」

それは予想外だったようで、皆さんは私の顔を伺って嘘をついていないと分かると目を丸くした。松川さんがマジ?と再度確認してきたので頷く。

「一度も?」
「な、ないです」
「へえ〜……じゃあ好きなタイプは?」

楽しそうに聞いてくる花巻さん。何だかノリが女子高生みたいだったけれど、まあ男子だって恋に興味はあるのだろう。

しかし、考えると全く出てこない。何だかんだ言って私も恋に興味が無いから、その問いはかなり難しかった。

「……正直で、嘘をつけない人、ですかね……」
「じゃあ及川無理だな」
「何で俺!?」

振り返ってぱちりと合った目は、またすぐに逸らされた。

206→←204



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
73人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , HQ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。