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そしてテストが終わった。開放されたとばかりに喜んで部活に励んでいる彼らはとても微笑ましいのだが、明日にはそれが返却されることを分かっているのだろうか。少し不安になった。

やれることはやったはずだが、日向くんは英語の解答欄を間違ってしまったというし、影山くんは読解問題が多く出たので心配だ。他にも古典は中々難易度が比較的高めだったりと、私の方がドキドキしてしまっている。

「谷地さんは、テスト、どうだった?」
「えっ!?ま、まあ、そこそこ出来たと思う……いやっ神風さん程じゃないけど!ごめんなさい!」
「ど、どうして謝るの……?お、落ち着いて、大丈夫」

谷地さんとそんな風にお話しながらマネージャーのお仕事をするのは、実は二回目だ。潔子先輩が基本谷地さんに寄り添っているので、私達が一緒にいることは案外少ない。

だからと言って距離が開いているという訳ではなく、彼女は単純に「噂の中の私」に対してかなり尊敬の念を抱いているらしい。本当にそんな人間ではないと何度説明しても、

「そ、そんな謙虚な……!」

と誤解されてしまう。もう仕方がないか、と諦めつつあるのだが、同じ学年で同じ部活なのだから、折角なら仲良くしたい。彼女がいい子であることは十分知っている。

とはいえ、彼女はその卑屈さを取り除けば話しやすい子だった。一々動きがちょこちょことしていて可愛らしいし、私よりも身長が低いから接しやすい。明るく話すし、笑った顔は花のように可憐だ。

そのおかげか、今日一日だけでもかなり距離が縮まった気がする。その証拠に、私達は互いを名前で呼び合う仲になったのだ。呼びあった時は少し照れくさかったが、彼女が嬉しそうな顔をするからいいや、と口角を緩めた。

そして、テスト返却。

「あ、あら……」
「ご、ごめんなさいっ!何でもします!」
「…………」

部活後、部室に呼び出されて見せられたテスト用紙に、思わず口が開いてしまった。すぐに閉じるが、同時に目も閉じてしまいたかった。しかし現実を受け止めなければ。目の前にあるのだから。

「ギリギリ、だね、二人とも……」

心配した通り、日向くんは英語が赤点、影山くんは現国が赤点だ。私の力が及ばないばっかりに、と自分を責めそうになるが、この間先輩に言われたことを思い出して冷静になる。

「で、でも他のテストは!ほら!」

と、俯いていた日向くんが勢いをつけて私の目の前に紙を突きつける。赤で書かれた点数は、私の想像よりも上だった。

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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

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