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私がオススメしたフルーツタルトだが、彼は私にそのまま渡した。それは予想外だったので、慌てて「月島くんが食べて」と言ったのだが、
「僕だけ二個も食べるのは不自然。一応ここではカップルなのに」
と、意地悪く笑われた。カップル、という響きがまだ照れくさいので体温が少し上がったが、彼の言い分はもっともだった。お店から出たら代金を払おう、と決意して有難く頂くことにした。
ケーキを食べつつ月島くんに勉強を教える。彼は基本的に頭がいいので、多少厳しくしたところで問題は無い。あの二人に教えている時と進み方が全く違うので、少し違和感。
元々このお店に興味があったので勉強場所をここに移したとのこと。確かに学校だと影山くんも一緒に勉強することになるから、彼にとっては避けなければいけないことなのだろう。
未だに二人は仲が良くないらしい。どちらも素直ではないから喧嘩腰になりがちなのだろう。きちんと話せばいいお友達になれるのではないかと思ったが、今のところ彼らはこれでいいのだろうと判断した。
勉強だけではなく雑談などもしたけれど、彼は私が少し苦手そうだったので、当たり障りない話だけをした。元々私は話すことが苦手な方なのだ。それは彼もだろうけれど。
「……君、警戒心ないよね」
英語の単語問題を全て解き終わってから、思い出したように彼はそう言った。私はそうだろうか、と首を傾げながら答える。
「そんなことないと思うけれど……」
「ていうか、達観しすぎ」
「月島くんに言われても……」
とは言ったものの、月島くんは案外子供っぽいところがあるのだった。しかしわざわざそれを口に出してこのささやかな関係が終わるのもどうかと思ったので、ぐっと飲み込んだ。
「こういう状況、そんなに簡単に受け入れられると思わなかった」
彼の言う「こういう状況」とは、恐らく恋人と間違われていることだろう。
「ま、まあ、嘘をつくのは感心しないけれど……、目の前にあるものなら、受け入れちゃうから」
「ふうん。別に何でもいいけど」
「な、何でもいいの……？」
「面白くないってだけ」
ふいっと外を向いた彼に、なるほど、と頷いた。私に何をしてもすぐさま対応されたり、相手にされなかったりするから、恐らくそれが気に入らないのだろう。
「……簡単に私を怒らせる方法があるけれど、知りたい？」
月島くんは私を少しだけ見て、
「いい。怒らせるの、得策じゃなさそうだから」
と言った。英断だね、と私は笑った。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (
レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ReG | 作成日時：2022年3月22日 15時
