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そんなことで、私のテスト後の予定がふんわりと固まった。とりあえずこれで月島くんと谷地さんの手を借りながら彼らを教えることが出来る。問題は、

「……なるほど」
「ど、どう……?」
「…………」
「……ええと、とりあえず、残念賞かな」

上がってはいても平均ギリギリ下というこの点数だった。
小テストに書かれた点数を見て苦笑しながら返す。二人はぐっと何かに押し潰されたかのように下を向いた。

「お家での復習の仕方とかも教えた方がいいのかな……、ううん、まあ、お家でのことは二人に任せようかな。苦しむのは二人だし……」
「み、見捨てられ……!?」
「い、いや、見捨ててはいないから……そ、そんな目で見ないで……」

とりあえず本日も時間が許す限り復習だ。月島くんも捕まえて付きっきりで教えることにする。
山口くんは少しテストが不安みたいで、生徒側として参加している。たまに日向くんの面倒も見てくれるし真面目なので、特に問題は無い。

影山くんを正面に、山口くんを隣にした席順で勉強会を進める。他に二年の先輩方もいたが、こちらに関わってくることはないだろう。縁下先輩が酷く冷たい目をしていて少し怖かった。頑張ってください、と心の中で応援した。

「ごめん、神風さん。ここって……」
「うん……、合ってる、大丈夫だよ。一番下の難問もやってみようか。これが解けるなら解けるよ」
「ちなみにこれ出ると思う?」
「先生の口ぶりからだと出ないかな。難問は三ページ前の……」

山口くんは影山くんや日向くんと違い、あまり手がかからない。なのでさらりと見るだけでも十分なのだ。なんて素晴らしい、と思ったが、本来学生はこうあるべきなのだ。

私が山口くんにかまけていたからか、影山くんが不満そうに私を呼んだ。丁度山口くんに難問の場所を伝えたところだったので、少ししてから顔を見上げた。未だに眉間に皺を寄せている。

「はい、どこ?」
「……あ」
「え?」

彼は何かに気づいたようにハッとして、慌ててノートを見た。まさか私を振り向かせたいだけに呼んだわけではあるまいに。ド忘れしてしまったのかな、とようやく指を指したところを見た。

「一昨日電話で教えたところだね。ナ行変格活用暗唱、はいどうぞ」
「な、に、ぬ……ぬる?ぬれ、ね」
「うん。そのうち已然形は?」
「已然形って……五番目か?」
「そう。ちゃんと覚えられてるね、偉いよ」

微笑むと、彼は少しむず痒そうに私から目を逸らした。

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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

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