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結局は、エゴだったのだ。
勉強だけしてきた私が、こういう時に役立てないで、いつ役に立てると言うのだ？彼らを応援するために、彼らの背を押す為に勉強を教えるという、自分の得意分野のことすら出来ず、一体何が出来ると言うのだろう。
だから、どうしても嫌だった。熱が出ても、体調が悪くても、どうしても私は彼らを教え抜きたかったのだ。
私が役に立てることはこれしかないと、分かっていたから。それすら出来ない私に価値はないと思ってしまったから。
「……そっか、背負いすぎちゃったんだね」
小さく泣く私の背を、先輩は優しく撫でた。熱いはずの私の体にじんわりと暖かく、それが何だか安心した。
「手のかかるあいつらをずっと教えなきゃ、自分が赤点回避させなきゃって思ったんだ？」
シャツの袖で目元を抑える私に、先輩は極めて優しいままで、「でもそれって小さな自惚れだよね」と告げた。
「神風さんがいれば、そりゃあ二人とも点数は上がるだろうけど、神風さんが教えなくたって月島がいるし、谷地さんも確か教えられるんだよね？それに、結局は二人の努力次第なんだしさ」
そこまで言ってから先輩は私の顔を覗き込んだ。ぐらぐらとした頭の中でも先輩の言葉は理解出来る。本当にその通りだ。
私は私の頭脳を過信してはいないが、同時に彼らのことを信じてもいなかったのだ。私が教えなければと勝手に決めつけて、彼らの努力を否定しつつあったのだ。
先輩は私が頷いたのを見てから柔らかく微笑んだ。
「うん。だからさ、他の奴らに頼っていいんだよ。もし駄目でもあいつらが悪いわけだし、神風さんのせいじゃないんだから。それに、神風さんが元気ないと＿＿」
カツン、と階段の上から足音がした。
「＿＿友達が心配するだろ？」
「神風、帰るぞ」
影山くんはそう言って縁下先輩と入れ替わるように私の前にしゃがむ。私の顔を覗き込んでびっくりしたと思ったら、すぐにジャージの袖で私の目元を少し強めに拭いた。やっぱり慌てた手つきで、慣れていないような仕草だった。
「どっか辛いか、立てるか」
「……ごめ、ん、なさ」
「神風さん！大丈夫！？」
日向くんの元気な声が頭にキンと響く。思わずきゅっと目を瞑ると、影山くんが同じくらいの声量で「おい！」と怒鳴った。さらに頭痛がした。
「はいはい、静かにしろ」
この場に縁下先輩がいて良かった、と心から感謝した。上から足音が増えて階段に集まってきていて、つくづくいい人達だな、と思った。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (
レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ReG | 作成日時：2022年3月22日 15時
