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「おい」
「影山くん、部活の後、お話するから」
部活前に私に近づいてきた影山くんにさっぱりとそう言うと、彼は不服そうにしながらも頷いた。きちんと答えると言ったからだと思うが、まだ納得のいっていない顔をしている。やっぱり分かる人には分かってしまうのだな、とぼんやり思った。
その日の部活はとにかく人から距離を取った。谷地さんが体験入部で来てくれているので、せっかくだから、とドリンクとタオルを渡してもらい、なるべく声を出さないようにしてひっそりと過ごす。
先輩方も少し不思議そうにしていたが、その目を向けられる頃には部活は終わりに近づいていた。特にハプニングもないまま部活が終わったので、一気に肩の力が抜けた。
だが、まだ気を抜いてはいけない。この後は月島くんと一緒に彼らに勉強を教える手筈になっている。それさえ乗り越えれば何とかなるのだ。息を吐いてから気合いを入れ直す。
「あ、谷地さん」
「は、ハイッ！」
「そ、そんなに、驚かなくても……」
影山くんに聞く限り、今日は私が居なかったから月島くんに頼んだところ、見事に玉砕されて、その代わりに谷地さんが勉強を教えてくれたらしい。元凶は私なので私からもお礼を言った。
谷地さんは頭をぶんぶん振りながら、
「い、いやっ、私ごときが神風さんの代わりなど！恐れ多い！」
だとか、とにかく私を持ち上げて自分を下げた言葉を言っていたけれど、私はそう思わなかったので再度お礼を言うと、彼女はようやく少し嬉しそうに笑った。笑顔が良く似合う子だな、と私も口角を上げた。
谷地さんは潔子先輩に送ってもらうらしく、勉強を教える為に残る私に手を振って校門から並んで出ていった。私はそれを見送って男子更衣室に入れるようになるまで待つ。皆さんはまた着替え中だと思うので、部室前の階段に座った。
ひんやりとした温度がお尻に伝わって少し驚くが、今の私のことを考えたら当たり前だろう。一息ついて手すりの方に身を寄せる。
既に自分の体重を支えるのも難しいほど体力が消耗されている。こんな調子で大丈夫だろうか、と不安になると、頭痛が少し増した。弱気でいるから駄目なんだろう、と目を瞑って時間を待った。温い風が私の頬を撫でた。
「……ちょ……、……さん、神風さん！」
その焦ったような呼びかけに、ゆっくりと目を開ける。今、私の名前を呼んだだろうか？
ぼんやりと見上げると、縁下先輩が私の肩を掴んだまま心配そうな顔を隠さずにこちらを見ていた。
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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (
レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ReG | 作成日時：2022年3月22日 15時
