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しかし私の虚勢も長くは続かなかった。二時間目が始まってすぐ頭痛が主張し始め、身体は発火したのかと錯覚するほど熱い。汗で張り付いたシャツが乾いて背中がひんやりと冷たく、そのバランスが何だか気持ち悪い。

幸い吐きそうではないし、今はもう夏だから多少汗をかいていても不思議ではない。元々汗をそんなにかかない体質だから、そこは問題ではない。顔の赤みは暑いからで通せなくもないだろう。

「……A」

だけれど、やはり友人の目は誤魔化せないのだ。
弥生ちゃんはお昼休みに入るなり私の腕を掴んだ。いつもは暖かい彼女の手がひんやりとしていて、ようやく私は自分がどういう状況かを把握した。

「弥生ちゃん。私、お昼休みは委員会だって、言っておいて」
「……人の心配より、自分の心配しなよ」
「うん、でも、お願い」
「はーあ……分かったよお。分かったからそんな目で見ないでー」
「あり、がとう。素敵な友人を、持てて、嬉しい」
「僕も好き。だから無理しないで」

ふらりと立ち上がる私を見送って彼女は丁度来たらしい日向くんに声をかけていた。その隣には影山くんもいるだろうから、ふらふらした姿は見せられない。しゃんと背筋を伸ばして、気をつけすぎなほど気をつけて階段を下りる。

そのまま保健室の前を通り過ぎて女子更衣室へ向かう。今の時間なら誰もいないはずだ。今日の三時間目はどのクラスにも体育の授業はない。

ドアをノックして誰もいないことを確認し、ドアを開けてすぐさま閉める。中から鍵をかけて、ポケットに入れていたマスクをつける。出来れば除菌シートもあれば良かったが、家からそれを持ち出せば流石にバレてしまうので不可能だった。

ずるりと扉を背にして座り込む。膝を抱えて額を膝につけると、一気に膝が熱くなった。

「38度は、流石に……キツいな」

インフルエンザの時と同じような症状が出ているから、もしかしたら一年と空けずにインフルエンザの再来かもしれなかった。なるべく人のいない場所に行って人と会わないようにするしかない。

彼らのことを考えれば、もちろん今すぐ保健室に行って早退した方がいいに決まっている。だけれど、何故かその時の私にはそんなことを考える頭がなく、いかに一日を過ごせるかを考えていた。

だってあれは、私に任されたお仕事なのだ。彼らに勉強を教えるという、立派な使命なのだ。
それを途中で投げ出すなんて、どんな理由があってもしたくなかった。

「…………ふう、よし」

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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

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