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そんなこんなで、一旦私と及川さんの小さな喧嘩は終焉を迎えた。元々私が怒っていたのは、私自身を影山くんの嫌がらせの為の道具だと思われていたことと、彼に対する悪口が看過できなかったからなので、それを面と向かって謝られてしまった今、彼を拒絶する必要はなくなった。

「……?そういえば、一緒に居られるならって、どういう意味なんですか?」
「エッ!?い、いや、あの……そ、そう!君の人となりが分かって謝りやすくなるかなって!」
「はあ……そうですか?」

目も泳いでいるし言葉もぎこちなかったので、嘘をつかれているとすぐ分かった。そういえば彼はずっと私の目を見ない。先程謝ってくれた時に交わった二秒間だけだ。試しに彼の前に立って顔を見上げてみると、予想通り彼は私から目を逸らした。

影山くんと比べるのもどうかと思うが、彼と同じくらい謎な人だな、と思った。瞬間、彼は顔をそのままにして「ウワッ!」と叫ぶ。

夜中に叫ぶようなものと言われたら私は真っ先に不審者を思い浮かべてしまうので、非常に驚いたのだが、彼が見ていた先は曲がり角だった。しかも見知った顔に向けて叫んでいた。

「マッキーとまっつん!何でいんの!?国見ちゃんと金田一もいるでしょ!逆に何で岩ちゃんがいないの!?」
「げえ、バレた」
「岩泉さんは帰りました……興味ねえ、らしいです」
「神風は気づいてましたけどね」
「えっ!?先に言って!」
「き、気づいている、ものだと……」
「神風ちゃん、ところでさっきの一緒に居たい発言の真意、聞きたい?」
「えっ、ま、まあ、はい」
「まっつんんんんん!やめて、本当にやめて!」

一気に賑やかになった道路に怒られないかと少し不安になる。一応住宅街なので騒がしくしていたら注意されてしまう。

それが彼らも分かっていたのか、もしくは及川さんの驚いた顔を見て満足したのか、すぐに全体の声のボリュームが落ちた。案外しっかりしている。というかやることをやったら正気に戻るという感じだ。少し面白い。

「で、理由なんだけど」

こっそりと松川さんが私の耳に囁いた。少しくすぐったいけれど我慢した。

「及川の初恋の人に、似てるんだって」
「……ああ、なるほど」

だから彼は私にとって変な対応をしてしまったり、かと思えば優しくしたりしてしまうのか。私の顔を見ないのも納得だ。分かってしまえば簡単だった。

「お、及川さん」
「えっ、な、何?」
「応援、してます」
「は、えっ!?そ、そう、ありがと……」

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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

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