第57回壁外調査12 ―誰にもわからない ページ28
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Aがそう言いかけた時、リヴァイがゆっくりと口を開いた。
「…エレン、お前は間違ってない。…やりたきゃやれ」
「……え…?」
エレンを始め、皆が一瞬耳を疑った。
そんなエレン達に向けて、リヴァイは静かに言葉を続ける。
「俺にはわかる。コイツは本物の化け物だ。『巨人の力』とは無関係にな。…どんな力で押さえようとも、どんな檻に閉じこめようとも、コイツの意識を服従させることは誰にもできない」
今だ全速力で森を駆け抜ける中、リヴァイの言葉は続く。
「…エレン。お前と俺達との判断の相違は経験則に基づくものだ。だがな、そんなもんはアテにしなくていい。選べ…。自分を信じるか、俺やコイツら調査兵団組織を信じるかだ」
リヴァイ…
今、この状況下でエレンに『選択』を委ねるというの―――
Aは思わず息を呑む。
「俺にはわからない。…ずっとそうだ。自分の力を信じても、信頼に足る仲間の選択を信じても、結果は誰にもわからなかった。…だから、まぁせいぜい…悔いが残らない方を自分で選べ」
悲しい過去の記憶…
兵士長という立場上、幾度となく残酷な選択を迫られ、幾度となく残酷な結果を目の当たりにしてきた
それを戦いの中で、すぐ側で見てきた
この人がどれ程重いものを背負っているのかを…――
ふいにAの脳裏に蘇る
あの夜、兵舎の屋上でリヴァイが口にした言葉…
『自分が間違った選択をした、そう思っている…』
そのせいで大切な仲間を失った…、と。
リヴァイはそう言った。
『俺もお前と同じ失ってばかりだ。自分の力で守れるもんなんて何にもねぇ…。人類最強だなんて、ただのお飾りみたいなもんだ。実際のところは、俺だってただの一人の人間に過ぎない…』
あの時初めて耳にした、リヴァイの素直な胸の内
その時のリヴァイの悲しそうな瞳の色…
それを見て、この人を支えたいと思った
力になりたいと思った
側にいたいと思った
戦いの中で、リヴァイも迷いながら苦しい選択を常に強いられ続けている
何が最善策なのか
何が最善の選択なのか
何が正しいのか
たとえ人類最強でも、どれが正解かなんて、わからない
結果は、誰にもわからない…――――
Aは悲痛な面持ちで、エレンへと視線を移した。
エレンはどちらを選ぶのか…
できることなら信じて欲しい、自分達を
だけど、エレンがどちらを選んだとしても、私は…―――
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まやや - 本編は女型の巨人でしたよね(名前かっこいい)オルオのボケシーンほんと面白くて和みます! (2020年10月24日 14時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
まやや - これ決戦は相手と意思通じできる前提なのですか? (2020年10月24日 14時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - レムさん» レムさん!コメントありがとうございます!レス遅くなってしまいすみません(>_<)最近通知の調子がおかしくて(泣)応援本当に嬉しいです!これからも更新全力で頑張ります!!(≧▽≦) (2017年4月22日 16時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
レム - いつも読ませてもらってます^ ^これからも応援してます!頑張ってください (2017年4月19日 0時) (レス) id: 070402a881 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - みーみーさん» プンプン丸…可愛いな(*´ω`*)兵長のシーン、ちょっと長かったね(*´∀`)この辺りの流れ、すごく好きなんだ!続きも頑張る〜!! 次はもうリヴァイ班のシーンに移る予定だよ((((;゚Д゚))) (2016年12月4日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
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