人類最強と私の恋愛事情7―決戦の時―【進撃】【リヴァイ】

第57回壁外調査10　　―残酷な選択だとしても ページ26

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Aを始め、メンバーの顔つきが変わる。
後ろへ送った視線でそれを確認し、リヴァイは少しだけ安心したようにわずかに目を細めた。

メンバーが冷静さを失うのは無理もないことだと思う。
後ろを見上げれば、今だ不気味な足音をさせながら猛然と迫ってくる女型の巨人が瞳に映る。




アレが『人間』が巨人化した巨人…


思惑通り何とか森まで誘いこめたことには安堵すべきかもしれないが、初めて目にするソレは予想を遥かに上回ると言ってよかった

身体能力、瞬発力、反射神経、戦闘力…
その全てが優れている

おそらく、中にいる巨人の元となる人間の特性も影響しているのだろう
戦闘面にもかなり慣れている様子だ



それに…

先刻、一瞬の内に行われた惨殺劇
それを見れば、この中にいる人間の本性は明らかだ



人間を殺すことに、躊躇すら―――ない



迷いもためらいもなく、容赦なく殺している
ここへたどり着くまでもそうしてきたことは、容易に想像がついた



Aが、もう待てない、と言った意味もわかりはする

コイツの手によってどれだけの仲間が命を奪われたか
そして、ついさっきも目の前で

沸き上がる憎悪の念…



予想通りだとするならば、現時点では目の前のエレンを捕獲することが目的だろうが
同じ人間の命を奪うことさえ正当化する、何かしらの大義があるのか


目的の為なら手段を選ばない――

そういうことか…



だが、それはこちらも同じこと

もちろん平気なわけでは決してない



残酷な選択だと、承知の上で―――――






「了解です！！」

「了解ッ！！」



リヴァイ班のメンバーが口々にそう答える。
それに対しエレンが一人焦りの表情を前面に出した。



「なっ…！？駆けるって一体どこまで…どこまで行くっていうんですかッ！？もうヤツはすぐそこまできてるんですよ！！ハッ…また増援です！早く援護しないとまた殺られてしまいます！！」



後ろには、立体起動で女型の巨人に戦いを挑む仲間の姿…。



「エレン！いいから前を向いて！！遅れてはダメ！！」

ｴﾚ「Aさん！こんなのおかしいです！！仲間が戦ってるのにッ！！」

ｸﾞ「エレン、前を向くんだ！！」

ｴﾙ「歩調を乱すな！！最高速度を保て！！」

ｴﾚ「ッ…なんで！？リヴァイ班がやらなくて、誰がアイツを止められるって言うんですか！？ッ…アアッ！また死んだ！！助けられたかもしれないのに…ッ！！」



仲間の悲鳴と共に、エレンの悲痛な叫びが響き渡る。

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