第57回壁外調査5 ―困惑の中で ページ21
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巨大樹の森へとそのまま進入する。
まわりを覆う巨大な樹木達。
空さえもほとんど見えない程に、細い道の両側にそびえ立っている。
馬を駆けらせるながら、Aは湧き上がってくる不安をどうしても抑えることができなかった。
中列だけが森へ入った時点で、長距離索敵陣形は完全に形を失った
外へ回った班はどうしているのだろうか…?
そして、この先どこへ向かう…?
いくら考えを巡らしてもわからない…
わからないことだらけだ
一体、何が目的でこんな森の中へ……
馬で駆ける先頭のリヴァイの後ろ姿を見やる。
今のところ、何の説明もない。
その素振りさえも見せない。
不安が不安を呼び、焦りに似た感情が頭をもたげてくる。
そのうちに、隣を駆けるエレンが困惑した表情でリヴァイに対し口を開いた。
「…兵長!……リヴァイ兵長っ!!」
「……なんだ?」
間を置いて、リヴァイがそう答える。
「…なんだ、って。ここ森の中ですよっ!中列だけこんな奥深くに入り込んだら、巨人の接近に気づけません!右から何か来てるみたいだし……どうやって巨人を回避したり、荷馬車班を守ったりするんですか!?」
「…わかりきったことをピーピー喚くな。もうそんなことできるわけねぇだろ」
「…えっ?…何故そんな……」
「周りをよく見ろ、エレン。この無駄にクソデカい木を…。立体起動装置の機能を活かすには絶好の環境だ。…そして考えろ。お前のその大したことない頭でな。死にたくなきゃ必死に頭回せ」
「っ…はいッ!!」
エレンが慌てた様子で返事をする。
それを見やりながら、Aは小さく唇を噛んだ。
きっとエレンも、この状況を理解することはできないだろう
だって、私にもわからない……
リヴァイが指摘した通り、確かにこの巨大樹の森は立体起動を使うには向いている
つまり何かと戦う…そういうことなのか…?
だとしたら、さっきの黒い煙弾の正体
奇行種と…?
だがそれにしても、陣形を崩してまでソレを倒す必要があるのだろうか
いや、奇行種なら他の班がきっと討伐してくれるはずだ
今は陣形を立て直すことが最優先だろう
なのに……
いくら考えても、合点のいかないことばかり
ペトラやエルド達もそう…
皆が不安そうな表情を隠しきれずにいる
オルオなんか特に、不安と不満が丸出しの表情だ
おそらく自分も焦りを隠すことができていない
きっと表情に出ていることだろう
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第57回壁外調査6 ―地鳴り→←第57回壁外調査4 ―幕開け
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まやや - 本編は女型の巨人でしたよね(名前かっこいい)オルオのボケシーンほんと面白くて和みます! (2020年10月24日 14時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
まやや - これ決戦は相手と意思通じできる前提なのですか? (2020年10月24日 14時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - レムさん» レムさん!コメントありがとうございます!レス遅くなってしまいすみません(>_<)最近通知の調子がおかしくて(泣)応援本当に嬉しいです!これからも更新全力で頑張ります!!(≧▽≦) (2017年4月22日 16時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
レム - いつも読ませてもらってます^ ^これからも応援してます!頑張ってください (2017年4月19日 0時) (レス) id: 070402a881 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - みーみーさん» プンプン丸…可愛いな(*´ω`*)兵長のシーン、ちょっと長かったね(*´∀`)この辺りの流れ、すごく好きなんだ!続きも頑張る〜!! 次はもうリヴァイ班のシーンに移る予定だよ((((;゚Д゚))) (2016年12月4日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
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