笑わせないでよ【シルバー】 (ページ5)

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いいから早くページ5

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「貴女が落としたのはこの、『フロイドのブレザー』ですか？」

「それとも～この『ジェイドのブレザー』？」

『いいからジャミルのブレザーを出しなさいな。』

フロイドとジェイドはいつの間にか帰ってきてた。お互いのブレザーを精霊族の真似事をするように出てきた。Aが冷たく突き放すと、フロイドは下唇を突き出してそっぽを向いた。この人たちのおふざけに付き合ってやるほど優しくない。

「イルカちゃんノリわりー」

『可愛くしたって無駄。さっさと出して』

「ジャミルさんのブレザーなら、洗濯と乾燥を済ませてここにあります」

『いや、初めから出してくださいよ』

部屋の隅っこに置いてあった袋をジェイドに渡された。

「あれー？アズール寝てんの？」

『うん。あたしが起きた時に椅子で座ってたから、移動させたの』

「へぇ、イルカちゃんってニンゲンの雌なのに強いんだぁ」

『まあ、半端な鍛え方はしてないから。フロイドくらいなら持ち上げられるよ』

Aが持ち上げる素振りをやってみせると、それまでヘラヘラしていたはずのフロイドが眉を歪ませ、指でバッテンをつくった。「やってやって～！」って飛びついてくると思ってたので意外だ。なんでも、「イルカちゃんに持ち上げられるとかチョー不本意～」だとか。成程、今度無理矢理でもやってやる。
Aはジェイドに質問した。

『ところで、あたしってどれくらい眠ってました？』

「そうですね。ざっと２時間ほどです」

ってことは今、７時くらいか。スマホを確認すると確かに７時半と表記されていた。となると、アズールはその間ずっとここで待っていたということになる。忙しいのに申し訳がない。

『二人は今までどこに？』

「スカラビア寮に。貴女の転寮について説明してきましたが……どうやら僕たちは歓迎されなかったようでした。ねえ、フロイド」

「そーそー、ウミヘビくんなんて睨んできたし。ラッコちゃんまで変なカンジだったしぃ」

『なんでだろ、あたしが急に転寮なんてしたからかな……オクタヴィネル寮に転寮するなんて一言も言ってないし、匂わせてすらないし。あたし自身が報告したほうが良かったよね……』

「いえ、あちらもAさんの体調については十分理解しているはずですよ。ジャミルさんの発言も貴女を気遣うものでしたし」

『そっか、心配されてただけか』

ブレザー返すついでにちゃんと説明しなきゃ、とその時のAは転寮について軽く考えていた。