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あれからショッピングモール内をフラフラと見て回った。
「まふ」
「どうしたの？」
「そろそろ時間じゃないかなって思って」
彼女が指さした先には、LEDで装飾された街路樹がキラキラと輝いている。
「もうそんな時間だったんだ」
「楽しいとあっという間に時間が過ぎちゃうね」
「そうだね」
早く行こうよと僕の手をひくA。彼女の表情は楽しそうで、僕はそれが見られるだけで嬉しくて。
暖房の効いた建物から外に出ると温度差に驚いてしまうほど、外は寒かった。キラキラ輝く街路樹を眺めながら歩く。ふと、Aの方に視線を向ければ彼女と目が合った。イルミネーションの光が映りこんだ彼女の瞳はいつも以上にキラキラとしていて綺麗で、その瞳に吸い込まれてしまいそうだと、そう思った。
目を逸らせなくてしばらくその場にとどまっていれば、指先が冷えたのか手をすり合わせて暖をとりはじめたA。そんな彼女の手を握って、そのまま上着のポケットに手を入れた。
「これならそんなに寒くないでしょ？」
「うん。ありがとう」
嬉しそうに笑った彼女が可愛らしくて、好きだなぁ、そんな気持ちが言葉となって溢れそうになる。
「ねえ、A」
"好きだよ"なんて、急に伝えたところで困らせてしまうだろうから。別の言葉に変換して伝えよう。今はまだ隣に君がいてくれるだけで幸せだから。
「なに？」
「暖かいですね」
「そうだね」
「これから先もずっと、僕の隣にいてね」
今は幼馴染という不安定でいつまでも一緒にいられないかもしれない関係だけど、Aがどこにも行かないように、僕から離れていかないように、そんな言葉で彼女を僕の元に繋ぎとめておく。
「急にどうしたの？」
「なんとなく、これからも隣にいて欲しいなって伝えたくなっただけだよ」
「そっか」
そう、たとえこの想いは伝えられなくとも、隣にいられればいいんです。だってそれだけで幸せだから。だから、これからも一緒にいようね。
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