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河原を散歩しながら、仕事の事とか、自分たちの未来の話とか
他愛もないけど、2人だけの話をたくさんした。
憧れていたセンラさんは、そこまで遠いところにいないというか
例えば、キュウリが苦手だったり、歌が好きだったり……こう言っちゃ失礼なのかもしれないけど
普通の、どこにでもいる男性だった。
「いや、俺のことなんだと思ってるん！？」
「スーパーマン……？」
「違いますー、人間ですー」
頬を軽く膨らませながら、そう言ってくるセンラさん…おい成人男性なのにかわいいぞ。
何てツッコミはしてはいけなさそうだ。時折口ずさんでいるメロディーが鼻歌がすごい上手で
何ていうか聞いていて心地よかった。
「疲れとらん？ちょっと座る？」
「…そうですね。」
「河原に座って―なんて、青春やねぇ…」
「私達もうアラサーですよ、センラさん。」
「…それ言ったら終わりやから。」
心傷つくわ―なんて笑っている姿も、カッコよくて。
今日1日で、色々なセンラさんを知れた。そして、ますます好きになった。
いつからか、尊敬する先輩は大好きな先輩に変わっていて。
「はぁ…」
「なんや、ため息なんて。」
「明日からまた仕事だなーって。」
「そうやねぇ…」
「センラさん休みですよね。」
「バレとる！？」
そりゃ、好きな人がいるかいないかは仕事のモチベーションに関わってきますから
なんて口が裂けても言えないから、風のうわさで聞きました。なんて苦しい言い訳をした。
彼にこの想いを伝えるべきか、伝えないでこのまま行くべきか……
好きって想いを気づいてほしいけど、それで関係が崩れたくない。
そう思った私が、苦し紛れに出た手段は……
以前、何かの本で読んだ、この言葉だった。
幸い、今日は晴れている。この言葉の本当の意味が伝わらなくても
伝わっていてダメだったとしても、うまくごまかせるだろう……
『星が…綺麗ですね。』
「そうか？俺的には月も綺麗やと思うけど。」
『……センラさん。意味……分かってます？』
「俺やて、そんなアホやないで？」
その言葉と、繋がれた手に、自惚れてもいいですか?
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